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低予算でも面白い番組を生み出す“テレ東”的発想術とは?

11/17(日) 11:00配信

日経クロストレンド

 ヒット番組『空から日本を見てみよう』を手がけた永井宏明氏の企画・発想のコツは"ないもの探し”。「『何で歴史番組はあるのに地理の番組はないんだろう?』と思ったのが始まり」。それがレギュラー番組化したきっかけは意外にもリーマンショックだったという。

【関連画像】『空から日本を見てみよう』より、JRと京急の線路の間に挟まれた家

 人の心を動かすアイデアを生み出し、効果的に伝えるための技術とは? 聞き手はNHK『ブレイブ 勇敢なる者』シリーズなどを企画・制作するNHKエデュケーショナルの佐々木健一氏。今回のゲストは、『空から日本を見てみよう』『和風総本家』などを企画・プロデュースしてきた永井宏明氏(番組制作会社「ユニット」代表)。その異色の経歴や仕事論に迫る(全4回の4回目)。

●紙一枚の企画書から始まった『空から日本を見てみよう』

佐々木 健一(以下、佐々木) 今、『ポツンと一軒家』(朝日放送テレビ/テレビ朝日系列)が20%近い視聴率を取って絶好調ですが、あの番組の源流といいますか、確実にきっかけになっている番組が、永井さんが手がけられた『空から日本を見てみよう』(テレビ東京)だと思うんです。

永井 宏明(以下、永井) こんな風に取り上げてもらえるのは、『ポツンと一軒家』のおかげですね。感謝しなきゃいけない(笑)。

佐々木 『空から日本を見てみよう』の企画は、どんな経緯で?

永井 きっかけは、「地理」の番組が作りたかったからです。歴史番組ってNHKさんも含めて結構ありますよね。もともと地理が好きだったので、「何で歴史番組はあるのに地理の番組はないんだろう?」と思っていて、「地理の番組って、何かやり方ない?」という話をしている中から始まったんです。で、ちょうどそのころ、GoogleマップがPC上で見られるようになったんですね。

佐々木 なるほど、10年以上前ですよね?

永井 まさにドンピシャだったんです。普通のWindowsPCで「マップが動くぞ。拡大できるぜ」とワクワクして操作したのと企画を考えたのがほぼ一緒だった。あと、放送作家の伊藤正宏さんが建物好きで、外から建物を見ると中に入ってみたくなっちゃう人なんです。「あのビルの中はどうなっているんだろう?」と。

佐々木 番組でディレクターがしていたことをもともとされていた?

永井 そう。実は僕も全く同じ性分でして……。で、地理の表現の仕方として、テレビ東京にヘリコプターがあるから空撮はなんとかできるという話になり、Googleマップというテクノロジーの進化と合わさり、紙っぺら1枚の企画書を書き上げて最初は特番で始めたのがきっかけです。

●リーマン・ショックがきっかけでレギュラー化

永井 2008年に『日曜ビッグバラエティ』の枠で単発特番を2回ほどやって、それがまあまあ、数字が良かったんですよ。視聴率11%ぐらいだったと思います。

佐々木 へ~、空撮で押し切る番組でそんなに!

永井 「あれ? こんなにいっちゃった?」という感じでした(笑)。でも、長持ちすると思ってないし、ずっと続けるような番組でもないと思っていたんですけど、特番を2回ほど放送した後にリーマン・ショックが来まして……。

佐々木 え? レギュラー化のきっかけがリーマンショック?

永井 ええ。すごく予算が厳しい状態に陥って、ある編成の人間から「永井さん、『空から日本を見てみよう』をレギュラーでやりませんか?」と言われて、「いやいや、レギュラーでやる番組じゃないよ」と言うと、「お金、かかりませんよね?」と言われて。確かに、空撮にはお金がかかるけど、それ以外はスタッフの人件費と編集費しかかからない番組なので、「じゃあ、いつまで続くか分からないけど、やると言うならやるよ」と始めたのがレギュラー化の始まり(笑)。

佐々木 でも、毎回ものすごいネタの量なので、ロケも大変そうだし、「これ、どうやって毎週作っているんだろう?」と思っていました。

永井 ロケは基本的にディレクターが自ら撮影していました。カメラも全部ディレクターのハンディカムです。ヘリコプター代はかかっていますけど、それ以外のお金はスタッフの人件費くらいしかかかっていない。

佐々木 そうなんですか!

永井 空撮にはもちろんカメラマンがいますけど、それ以外の地上のオペレーションは全てディレクターとADが行う形です。

佐々木 番組開始当初からずっとそのスタイル?

永井 もちろんです。テレビ東京はお金がないので。懐かしい話で、涙が出てきちゃう、本当に(笑)。

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最終更新:11/17(日) 11:00
日経クロストレンド

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