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香港デモ、一般市民の幸福を求める「義」がない

11/17(日) 6:00配信

日経ビジネス

香港の抗議活動が暴力化の度を強めている。この背景と課題を中国の事情に詳しい瀬口清之氏はこう見る。「香港政府への怒りや、共産党政権への不安は理解できる。しかし、それが、よりよい社会を作るための政策に結びついていない」。それはなぜなのか。

【関連画像】抗議活動も、対応する警察も、暴力の度合いを高める(写真:AP/アフロ)

(聞き手 森 永輔)

―瀬口さんは最近、香港を訪問されました。どのような状況でしたか。

瀬口:香港の抗議活動は10月以降、急速に状況が悪化しています。

 6月に100万とも、200万とも言われる数の人がデモに参加していた時は、統制が取れており、平和的なものでした。しかし、リーダー格の人が拘束されるにつれてその統制が利かなくなり、歯止めのないものになっています。

―リーダーは穏健派の人々だったのですか。

瀬口:抗議活動に参加する人の主張は、穏健派から勇武派(いわゆる武闘派)まではかなりの幅があり、それぞれのグループにリーダーがいました。そうしたリーダーを含む2400~2500人がすでに拘束されています。このため、例えば「今日のデモはこの辺でやめにしよう」と言っても、勝手に行動する集団が出てきてしまい、節度をもってやめられない状態に陥っているのです。

●抗議活動の過激化を促した3つの出来事

 今日に至る過程で、過激の度を高めるいくつかのポイントがありました。1つは7月に白いTシャツを着た反社会的勢力の人々が抗議運動の参加者を襲った時です。その時に警察が抗議活動参加者や一般市民を十分に保護しなかったことから反警察の機運が高まり、抗議活動の暴力化が進むきっかけになりました。

 2つ目は、香港政府が10月4日、抗議活動におけるマスクなど覆面の着用を禁止する覆面禁止法を制定したことです。これも抗議活動する人々の怒りの火に油を注ぐことになりました。

 さらにその後も、抗議活動の過激化を煽りかねない事件が起きています。その1つは、11月24日に予定される香港区議会(地方議会)議員選挙で、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏の立候補が認められなかったことです。10月末に決定が下されました。同氏は2014年に広がった雨傘革命のリーダーの一人。香港「自決(香港のことは香港人が決める)」を主張していることが理由ですが、立候補を認められた人の中には自決を求める人も含まれているので、「選挙管理委員会の判断には政治的意図がある」という見方が広がりました。

 もう1つは、デモに参加した学生が11月5日、駐車場の3階から転落し、その後死亡した事件です。これらの事件がどのような影響をもたらすのか予断を許さない状況が続いています。

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最終更新:11/17(日) 6:00
日経ビジネス

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