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共通テストの「国語の記述式」に第一人者が反対する理由 逆に自由な発想ができなくなる〈AERA〉

11/18(月) 12:47配信

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 共通テストでは、英語だけでなく国語の記述式問題の中止を求める声も高まっている。国語教育の第一人者で『国語教育の危機』を著した紅野謙介・日本大学教授に話を聞いた。AERA 2019年11月25日号に掲載された記事を紹介する。

【写真】国語の記述式の問題例はこちら

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 2020年度から実施予定の大学入学共通テストの国語の記述式問題について、いま多くの制度不備が指摘されていますが、強行されると国語教育も壊れると私は大変危惧しています。

 記述式問題は、携わったことのある教員ならだれでもわかっていることですが、採点はとにかく大変です。あらかじめ正解や部分点の設定はしますが、実際に採点を始めると「出題者が想定していなかった観点の解答」が必ず出てきます。担当者はその都度協議し、判断によってはそれまで採点した答案をさかのぼって見直します。仮に2千枚を採点していて1999枚目にそうした解答が出てきてもです。しかし、それを50万人を対象にした入試でできるでしょうか? 不可能です。

 そうした事情を受けてでしょう。プレテストの記述式問題は、本来の記述式とは似て非なるものになっています。通常、記述式問題をつくるときには設問に条件は極力つけません。自由に発想してもらうためです。そこに記述式の醍醐味もあるのです。ところがプレテストでは、「『しかし』で書き出せ」、「『~の是非。』で終われ」といった、「文頭」や「文末」の言葉の指定をはじめ複数の条件がつけられています。短期間で大量に採点するのに、解答のぶれ幅を抑える必要があるからです。結果的にマークシート式とほとんど変わらないようなものになっています。

 共通テストの「条件付き記述式問題」が施行されたら、学校では受験を意識し練習せざるをえなくなるでしょう。そうすると本来の記述式問題を授業や試験で扱ったときに、生徒がこう言ってくる可能性があります。

「先生、もっと条件をつけてください。そうしないと正解が書けません」

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最終更新:11/18(月) 12:47
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