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「空気を読む」仲の良さとは違う、「心理的安全性」とは?

11/18(月) 7:32配信

日本の人事部

「心理的安全性」とは、「サイコロジカル・セーフティ(psychological safety)」を日本語に訳した心理学用語です。米Google社が自社の生産性向上のために調査する過程で再発見した言葉であり、近年では農林水産省が発表した「食品製造業における労働力不足克服ビジョン」や金融庁の「金融行政のこれまでの実践と今後の方針」でも心理学安全性という言葉が登場するなど、注目を集めています。

この「心理的安全性」は、職場で誰に何を言っても、どのような指摘をしても、拒絶されることがなく、罰せられる心配もない状態のことを意味しています。従業員同士が仲のいい状態、ざっくばらんに冗談を言い合えるような状態だと捉えられることもありますが、そのような状態とは少し異なります。むしろ、心理的安全性とは、「空気を読む」という日本的な仲の良さとは相反する側面があります。

近年、イノベーションや生産性向上が重要であることの議論が盛んに行われていますが、そのためには空気を読まない発言や、伝統を否定するような発言があっても、組織内で拒絶されず、評価が下がらない場を作らなければなりません。安心して誰に対しても発言することができる状態こそが、心理的安全性が意味するところです。

押さえておくべき心理的安全性の意味

心理的安全性は単なる仲の良さや、一致団結して仕事に打ち込むことができる雰囲気とは少し異なる意味を持っています。また、「会議での発言は自由に行うこと」「誰の発言も罰さないこと」というルールを定めることとも異なります。

心理的安全性とは、誰にどのような発言をしても罰せられないという「ルールが決められていること」ではありません。誰にどのような発言をしても罰せられない「雰囲気」「暗黙の了解」のことをいうのです。心理的安全性を、単に仲が良いこと、あるいは罰せられないというルールを決めることと誤解しては、本来の目的からかけ離れてしまう可能性もあります。

このことを理解するために、「心理的安全性」という言葉を最初に組織論で用いたハーバード大学のエドモンドソン教授の発言を引用してみましょう。エドモンドソン教授は、「心理的安全性」を次のように説明しています。

“A shared belief held by members of a team that the team is safe for interpersonal risk taking.“ (このチーム内では、対人関係上のリスクをとったとしても安心できるという共通の思い)
Edmondson (1999) Administrative Science Quarterly. 44(2)
つまり、普通なら嫌われたり、関係が破綻したりするようなリスクであっても、心理学安全性では、どのような発言や指摘をしても問題がない状態」を意味しているのです。通常であれば、遠慮のない発言をしてしまったことで人間関係が悪化するケースが、心理的安全性ではそのようなリスクがないことが特長です。

チームの上下関係がなく、誰もが気づいたことを発言できる雰囲気があれば、学びの機会も増え、それだけ業績が上がりやすくなります。仮に上下関係があったとしても、自由に発言ができることが大切なのです。もちろん、誰に何を指摘しても罰せられないという雰囲気を作るためには、ある程度の仲の良さがなければ難しいでしょう。心の内を全員が打ち明けて、チームが崩壊してしまっては元も子もありません。

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最終更新:11/18(月) 7:32
日本の人事部

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