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デジタル・プラットフォーム企業による市場支配と競争政策――公取委員長 杉本氏による解説

11/18(月) 14:02配信

日経BizGate

デジタル・プラットフォームの急成長

 近時、デジタル・プラットフォーム事業の成長が著しい。デジタル・プラットフォーム事業の成長の速度には驚くべきものがあり、創業後5年程度であっという間に急激に成長してしまうような事業も見られる。デジタル・プラットフォーム企業の急成長に伴い、世界で流通するデータの量は爆発的に増加している。2018年でフェイスブックのユーザーは23億人、アリババのユーザーは6億人となっていると報じられている。また、グーグルのクリック数は年間2兆回と天文学的数値になっているとされている。世界で生まれるデータの量は指数関数的に増加しており、2018年33兆ギガバイトが2025年には175兆ギガバイトにもなるという予測もある(図表1)。

 米国市場における時価総額上位企業の顔ぶれは、20世紀末(2000年末)では、ゼネラル・エレクトリック、エクソンモービル、ファイザー、シスコシステムズ、ウォルマートといった企業がトップ5社であったものが、現在では、マイクロソフト、アマゾン、アップル、アルファベット(グーグル)、フェイスブックといったデジタル・プラットフォーマーが時価総額上位企業に名前を連ねており、様変わりの感がある(図表2)。

 また、中国の株式市場でもアリババ、テンセントといったデジタル・プラットフォーマーがトップ上位に位置している。

 このように、デジタル・プラットフォーマーの市場における存在感が急速にかつ極めて大きくなってきている。

オンライン・プラットフォームの特徴

 デジタル・プラットフォーム事業では、プラットフォームの下に、事業者と消費者など異なる複数の利用者層が存在するという両面市場で構成されており、通常の市場とは異なる構造を有している。グーグルのような検索エンジンの場合であれば、ユーザーが一方に、広告主が他の一方に位置し、検索エンジンはユーザーに無料で提供して、それから得たデータを利用しながら広告主から広告料をとってターゲット広告を出していくというようなビジネスモデルになっている。フェイスブックのようなソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)も、ユーザーにSNSサービスを無料で提供しながら、広告主に広告スペースを提供し、ターゲット広告サービスを提供している。アマゾンのようなeコマースの場合は、プラットフォームの両側に消費者と出品者がそれぞれ連なっており、出品者がプラットフォームを介して消費者に商品を提供するという両面市場になっている(図表3)。

 オンライン(デジタル)・プラットフォームの急成長の背景には、ビッグデータの事業活動への利用がある。オンライン(デジタル)・プラットフォームでは、無料サービスにより、大量のデータを収集している。機械学習を始めとするAI技術を用いてデータを利用することで、製品・サービスの性能向上につなげている。これが顧客増に寄与し、更なるデータの蓄積が可能となるという好循環が発生する(図表4)。

 ビッグデータが利用される場合には、この強力な好循環の発生により、ネットワーク効果が強力に発生することになる。より多くの主体がプラットフォームにつながればつながるほど効果が高くなり、特定のプラットフォームへの利用者の集中が更に進むことになる。また、工場における生産能力に一定の限界がある製造業などに比べ、オンライン・プラットフォーマーは限界費用が極めて小さいことから利用者の増加に応じて事業を拡大しやすい。このため、事業が拡大しシェアを獲得しやすいという特徴がある。したがって、市場支配力が強い事業者が出現することになる。

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最終更新:11/18(月) 14:02
日経BizGate

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