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<目撃>枝から枝へジャンプするヘビ、「空飛ぶヘビ」の謎解明に一石

11/18(月) 19:14配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

滑空するトビヘビの近縁種ブロンズヘビ、飛び移る行動を実証

 木の上に暮らすヘビには、手も足もないが、確実な「近道」がある。

 枝から枝に渡るルートだ。その際、体重を支えるのに十分な大きさのものに触れるまで、体の前半分を持ち上げて伸ばす「橋渡し」という行動を見せるヘビが多い。

【動画】樹上でジャンプする野生のブロンズヘビ

 だが、アジア原産のトビヘビ属の5種は、もっとすごい技を持っている。空中で体を平べったくして、ムササビのように木の上から最大100メートルも滑空できるのだ。

 そして今回、オーストラリアに生息するブロンズヘビ属が、実際に空中にジャンプできるという新たな証拠が得られた。ブロンズヘビはトビヘビの近縁種だ。

 野生のコモンブロンズヘビ(Dendrelaphis pictus)が飛び跳ねる行動は、米バージニア工科大学教授のジェイク・ソチャ氏が2010年にすでに撮影していた。ただし、その詳細はほとんど研究されていなかった。ソチャ氏の研究室に所属していた博士課程の学生で、ナショナル ジオグラフィック協会のエクスプローラーでもあるミシェル・グラハム氏は、このヘビについてもっと知りたいと興味を抱いた。

 そこで、グラハム氏はオーストラリアを訪れた。野生のブロンズヘビを捕まえ、塩ビ製のパイプや木の枝で実験室に森を再現し、ヘビが飛ぶ姿をGoProカメラで撮影した。

「基本的には、ヘビ用の小さなジャングルジムのようなものです」と同氏は話す。

 ヘビがどのように移動しているのかを研究することで、動物の移動方法の多様性について、多くのことが明らかになってきた。それは、こうした奇妙な行動がどのように進化してきたかという謎の解明にもつながっている。

樹上の移動は3次元的

 私たちのほとんどは、2次元である平面での生活を当然のことと考えている。たいてい、一歩踏み出せば、足を受け止める地面がそこにあると、当てにできる。

 しかし、樹上で生活する動物にとっては、そうはいかない。世界は木の枝によって細切れに分断されており、その3次元的な空間を、鳥は飛んで移動し、ホエザルは枝にぶら下がり、振り子のように体を揺らしながら枝から枝へと進む。ナマケモノは単純に手足を伸ばし、移りたい枝を掴む。だが、こうした行動のすべてに必要な手足が、ヘビにはない。

「ヘビに関して興味深いのは、手足もないのにこのような驚きの移動行動を行う能力がある点です」とグラハム氏は話す。

 もちろん、野生のヘビにジャングルジムでこうした行動を取らせるのは、簡単なことではなかった。グラハム氏が最初に捕まえたヘビは、たまたまかなり大きなメスで、「この飛び跳ねる行動を行うことにまったく興味がなかった」という。

 だが、氏の粘り強さは報われた。あらゆる形や大きさの樹上性のヘビを数多く捕まえた末、コモンブロンズヘビが、何もない空間へ自らの身を実際に投げ出したことをついに実証できたのだ。

 ヘビは目的地(例えば木の枝)の下に這って行き、はずみをつけて隙間を飛び上がった。グラハム氏は、研究のさらなる詳細を記した学術論文を2本、2020年に発表する計画だという。

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