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ボリビアに見る権力という「人間のさが」

11/18(月) 12:22配信

Wedge

・ボリビアでは大統領選直後から、選挙不正の噂が高ま
・選挙監視をした「米州機構(OAS)」が不正の証拠を突き付ける
・モラレスは、選挙のやり直しを決めるも、国民の怒りは収まらず
・国を統治する者もそれに代わって代理統治する者もすべていなくなった
・結局、権力は長期化すれば腐敗する

 ボリビアはさながら無政府状態に陥ったかのようだ。3週間に及ぶ国民の抗議活動の結果、ついにエヴォ・モラレス大統領が辞任、副大統領、上下両院議長もそれに続いた。治安は軍司令官であるウイリアム・カリマン将軍によりかろうじて維持されている。

 10月20日の大統領選挙直後から、モラレス氏側による選挙不正操作の噂が国内を駆け巡った。普通ではありえない数の無効投票が報告されている、ある選挙区では投票率が100%とされ投票済用紙が書き換えられているらしい、等。国内最大都市サンタクルスのルイス・フェルナンデス・カマチョ氏主導によるデモが毎日のように繰り返された。サンタクルスのデモは国内全土に波及、モラレス氏の辞任を要求していく。

 米州機構(OAS)による報告が決定的だった。OASは選挙監視要員をボリビアに派遣、その適正な執行を見守っていた。選挙が終わってからは30名余りからなる調査団も現地入りした。そのOASがついに報告書を公表、選挙における数々の不正を明らかにした。曰く、各選挙区の投票状況を記したリストが不正に書き換えられていた、選挙結果を通知する各選挙区と中央を結ぶコンピューターのソフトに不正が見つかった、等々。

 大統領選挙規定により、モラレス氏が、決選投票を経ることなく第一回投票で当選を決めるためには、第二位候補者に10ポイント以上差をつけなければならない。総投票数590万票のうち、モラレス氏は第一回投票で第二位候補者に対し10ポイントをわずかに3万5000票上回る票を得た。不正操作がなければ得票は3万5000票少なくなっていたかもしれない。

 OASが突きつけた不正操作の証拠を前に、モラレス氏に選択の余地はなかった。当初、モラレス氏は不正操作の噂を「陰謀」と片付け、それでも国民の抗議が収まらないのを見てやむなく「決選投票実施」を承諾した。しかし、事態はそれで収まるものではなかった。ついに10月10日早朝に至り、モラレス氏は「選挙自体をやり直す」ことを言明したが、これも国民の受け入れるところとはならない。ついに警察の一部まで治安維持を放棄しデモに参加しはじめた。

 国内は既にすべての機能がマヒしている。ストは全土に広がり、国内全ての経済活動が止まった。スーパーは午前中のみ営業が認められ、食料を積んだ車両がバリケードを通過していく。その他、通りを走るのは救急車や警察等、緊急車両のみだ。国民は勤務に向かう代わりに路上に出、抗議デモに加わる。とうとう軍が最後通牒を出した。これが止めとなった。軍の辞任勧告を受け、10日午後、モラレス氏は辞任を発表した。

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最終更新:11/18(月) 15:38
Wedge

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