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ポルシェのSUVに“らしさ”はあるのか? マカンS試乗記

11/18(月) 20:40配信

GQ JAPAN

たかが1.5kg、されど1.5kg

ポルシェ「マカン」はDセグメント最強のSUVだ。

最強といっても、速さだけが取り柄ではない。もちろんポルシェだからパワフルな走りも楽しめるけれど、滑らかな乗り心地でも車内の静けさでもライバルに負けていない。しかも、コーナーが続くワインディングロードでは狙いどおりに走れるし、高速道路を延々とクルージングするようなシーンでも不満はまったく覚えない。内外装のクォリティだってトップクラス。ついでにいえば、テールゲートが強く前傾したクーペっぽいデザインも個人的には好みだ。

もしもマカンに弱点があるとすれば、お値段がはる点だろうか。車両価格自体はライバルのメルセデス・ベンツ「GLC」、BMW「X3」、アウディ「Q5」などと変わらないけれど、自分が欲しいと思うオプションをマカンにつけていくと結構な金額になってもおかしくない。まあ、それさえも「ポルシェなんだから」と納得させてしまうあたりが、シュトゥッツガルト生まれのスポーツカーメーカーが持つ魔力といえるかもしれない。

そんなマカンがマイナーチェンジを受けた。メディア向けに配布された資料を見ると、どうやらヨーロッパの最新排ガス規制をクリアするためにエンジンが新しい世代のものと入れ替わったらしい。あとはフロント・サスペンションに使われているスプリングフォークというパーツをそれまでのスチール製からアルミ製に変更し1.5kgの軽量化を果たしたという。

エンジンはまだしも、足まわりのたった1.5kgの変化なんてそう簡単にわかるはずはないと試乗前は予想していたのだけれど、先にお断りしておけば、この予想が見事なまでに裏切られたというあたりが本リポートの主なテーマとなる。

“しなやかさ”のレベルが一段向上

試乗したのは3.0リッターV型6気筒ガソリン・ターボ エンジンを搭載するマカンS。お値段はおよそ875万円。これ以外に2.0リッター 直列4気筒ガソリンターボ・エンジンのマカン(約712万円)と、よりパワフルな3.0リッターV型6気筒ガソリンターボ・エンジンを搭載するマカン ターボ(約1220万円)が用意されるが、まずはマカンSが代表モデルといって間違いない。

乗り始めてまず感じるのは、「大した差じゃないはず」と、高をくくっていたサスペンションの変化である。もともとマカンは、ライバルたちよりも足まわりがよりなめらかにストロークし、大きくうねるような路面だろうと鋭い段差だろうとタイヤがしなやかに追随して快適な乗り心地をもたらしてくれるのが大きな特徴だった。

ところが新型マカンは、その“しなやかさ”のレベルが確実に一段上がった。おかげで、どんな路面にもタイヤが“撫でる”ように追随していき、ドスンというショックを起こしたり、ゴツゴツという振動を伝えたりする機会がさらに減少。まさに「うっとりするような乗り心地」に進化したのである。

通常、路面からのショックを吸収するにはサスペンションのスプリングやダンパーを柔らかくするのが多いが、これだとショックは減ってもボディがフラフラと揺れて必ずしも快適には感じられない。

けれどもマカンは、おそらくスプリングやダンパーに大きく手をくわえず、足下を軽くし、乗り心地の改善を図ったのだろう。だからボディの安定感はこれまでと変わらない。しかも、それまでの鉄ゲタ(って若い人にわかるかなあ)を脱ぎ捨てて軽量なランニングシューズに履き替えたようなものだから、足が軽快に動くのは当然のこと。荒れた路面でも正確に追随できるから、タイヤと路面が接触している時間がさらに伸びて安定したグリップが得られるようにもなった。

つまり、安全性やスポーツ性能といった面でも、足まわりの軽量化はプラスに働くのだ。

それ以外にも新型マカンはロードノイズといって走行中にタイヤが生み出す“ゴーッ”という騒音が減って車内が静かになったほか、ステアリング・ホイールがこれまでよりも軽く、かつスムーズに操作できるうえ不快な振動も減少、さらに洗練度を高めていた。ライバルを突き放す改良といっていいだろう。

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最終更新:11/18(月) 20:40
GQ JAPAN

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