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長生きする食事、結論は「好きなものを食べろ!」

11/19(火) 6:00配信

JBpress

 数多ある「長生きの秘訣」は真実なのか?  テレビをはじめとする健康情報に振り回されて右往左往する私たちに、人生100年時代の医療との付き合い方を医学博士の米山公啓氏が指南する。(JBpress)

 (※)本稿は『長生きの方法〇と×』(米山公啓著、ちくま新書)の一部を抜粋・再編集したものです。

■ 医療からの卒業

 私は医師として40年近く、作家として20年以上にわたって、高齢者の医療に携わってきました。外来診療では、認知症の患者さんやその家族と毎日のように接しています。同時に私自身も高齢者になり、60歳を過ぎたあたりでどう生きていけばいいのかと迷い、いろいろなことに挑戦してきました。

 こういった試行錯誤を通じて見えてきたのが、ある時期がきたら、医療から卒業することが必要ではないか、ということです。

 80歳を過ぎてまで、糖尿病を恐れて好きなまんじゅうを我慢するのが幸せでしょうか。

 この我慢が、健康に長生きすることにつながるという医学的な根拠はあるのでしょうか。

 今の世の中では、高齢になっても医療と関わり続けることで、人生の最後の時間にさまざまな制限を受け、楽しみを失っている方がたくさんいます。

 そう考える人にとってまず必要なのは、長生きの方法や幸せな老後についての思い込みから自由になることです。

■ カギを握るのはやはり認知症

 「ぽっくり死にたい」と思うのは、誰しも同じです。外来に来ている患者さんにも、「私はぽっくり死ぬから、薬は飲みたくない」などと言う人はたくさんいます。

 しかし、「ぽっくり死ぬ」というのはむしろ例外的なケースだと考えたほうがいいでしょう。それは、現実の死因を考えてみれば想像できることです。

 厚生労働省の「平成29(2017)年人口動態統計(確定数)の概況」で日本人の死亡原因をみると、1位は悪性新生物(がん)、2位・心疾患(心臓)、3位・脳血管疾患、4位・老衰、5位・肺炎となっています(男女合わせた総数で比較)。

 この中でぽっくり死ねるのはと考えてみると、心筋梗塞や不整脈、脳卒中が当てはまりそうですが、実際にはこれらの場合も突然死ぬというわけではありません。

 脳卒中であれば後遺症としての麻痺が残り、多くの場合、実際には合併症の肺炎などで亡くなっているのです。

 そもそも、現代の医療はなかなか簡単には死なせてくれないという面もあります。口から食べられなくなれば、鼻からあるいは胃に直接孔をあけて管を入れたり、中心静脈からいわゆる持続点滴をしたりして、栄養をとにかく入れていくことは可能です。

 最近でこそ、ようやく安易に胃瘻を作ることはしなくなってきたとはいえ、「ここで入院を続けるなら、胃瘻を作ってくれないと困ります」と医療サイドに言われてしまうことはまだまだあるのが現状です。

 実は、介護保険の認定会議では、胃瘻が入ってしまうと寝たきりでも要介護度が5から4に下がるという不思議なことが起こります。

 それは、胃瘻になったことで、食事の介助の手がかからなくなるからです。介護施設でも、胃瘻のほうがずっと管理しやすくなるのです。医療機関でもそれは同じです。

 なんとか経口摂取を頑張ることは、誤嚥して肺炎などを起こしてしまう危険と、常に隣り合わせだからです。

 こうなってくると、動脈硬化が影響する心筋梗塞や脳卒中による死は減っていくはずですから、結果的にがんによる死は増えていくでしょう。

 ですが、世界初の免疫治療薬であるオプジーボのような画期的な抗がん剤の登場によって、がんの治療も変わっていく可能性はあります。

 となってくると、寿命が延びることで増えていく可能性のあるのはやはり認知症です。いまや、80歳代後半であれば男性の35%、女性の45%が認知症になり、95歳を過ぎると男性の51%、女性の84%が認知症になることが明らかになっています(厚生労働省「認知症対策総合研究事業報告書」、2009~2012年)。

 認知症は経過が長い病気です。とくにアルツハイマー型認知症は、発症して10年経過しても、普通に歩いている患者さんもいるくらいです。

 認知症の末期には手足が動きにくくなり、寝たきりになり、合併症の肺炎で亡くなるケースが多いと思われますが、末期の状態になるまでにはかなりの時間を必要としますから、ぽっくり死ぬとはほど遠いものです。

■ 80歳を過ぎてからの健康の考え方

 40歳代、50歳代の働き盛りであれば予防という考え方も重要ですが、80歳を過ぎてくると、血圧やコレステロールのコントロールについては、(無駄にはなりませんが)それほど神経質にならなくともよくなってきます。

 すでに糖尿病の治療を続けている人は基準値まできっちり下げないほうが長生きできるという調査結果もあるので、80歳を過ぎてくれば、さらにゆるく考えていくほうが安全でしょう。

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最終更新:11/19(火) 6:00
JBpress

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