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アメリカの「予防的利下げ」がなぜ危険なのか

11/19(火) 6:10配信

東洋経済オンライン

 11月に入って、アメリカではNYダウが史上最高値を更新し、これを好感して日本でも日経平均株価が年初来高値を更新している。材料は米中貿易協議進展への期待だ。来年の選挙で2期目を目指しているトランプ大統領は、1期目の成果として、IS(過激組織イスラム国)の指導者殺害のような軍事的なものだけではなく、北朝鮮との非核化交渉や、米中貿易協議の進展といった外交、経済上の成果も国民の前に示したいところだろう。

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 国内経済では株価の上昇を持続させようとして、FRB(連邦準備制度理事会)に公然と金利引き下げの圧力をかけてきた。インフレになっていないのだから金融緩和を行っても大丈夫、という考え方もあるが、金融を緩和することの副作用は物価上昇だけではない。

■「予防的措置」として利下げを余儀なくされたFRB

 グリーンスパン元FRB議長は、バブルは崩壊するまでバブルであるとは確実には分からないので予防することは難しく、金融政策は崩壊後の事後処理に注力すればよいと主張した。実際、現在の株価や不動産価格の上昇がバブルかどうかという論争は、次の景気後退が起こるまでは決着がつかないだろう。

 しかし、グリーンスパン元議長の金融緩和策がバブルを醸成し、結局、リーマン・ショックという巨大なツケとなって返ってきたことを思い起こせば、現在の株価のレベルはすでに警戒すべき水準だ。

 2018年春頃からアメリカ経済に変調が見えるようになったのは、米中間の貿易摩擦が激化したことが要因だ。このような外的ショックによる景気後退を金融緩和で予防できるとは考えにくいし、緩和状態を続けることが引き起こすリスクの拡大には注意が必要であろう。

 しかし、中央銀行は政府から独立しているとは言っても、現職大統領の考えと正反対の政策を実施することは難しい。結局、FRBは「予防的な措置」という理由をひねり出して、利下げを実施せざるを得なかった。

 アメリカの失業率は10月は3.6%と歴史的な低水準にある。日本の失業率も少し上昇したとはいっても9月は2.4%で、こちらもバブル景気の頃に迫る低水準で、失業ではなく人手不足が問題にされている状況だ。

■景気が落ち込むと低所得者のほうが打撃は大きい

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最終更新:11/19(火) 6:10
東洋経済オンライン

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