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稲葉ジャパンが“世界一”に輝くも…「プレミア12」を開催する意義はあるのか?

11/19(火) 5:58配信

デイリー新潮

 11月17日に行われた、第2回世界野球「プレミア12」の決勝戦で、稲葉篤紀監督率いる日本が前回大会の覇者・韓国を5対3で破り、初の栄冠に輝いた。日本戦の視聴率は好調に推移していたものの、客席は日韓戦や決勝戦を除いて、ほとんどの試合で空席が非常に目立つ大会だった。

「大会前はラグビー人気に押され盛り上がりに欠けていましたが、フタを開けると視聴率は軒並み好調で、広告収入も予想以上の数字が出たので、まずは一安心です。しかし、観客動員については、日本戦を含めてガラガラだった試合が多かったですね。特に、11日に行われた千葉での試合(ZOZOマリンスタジアム)は酷かった。平日月曜で冷え込んだ日だったこともありますが、千葉は台風や集中豪雨の影響などもあり、ファンが野球に力を入れられる状況ではなかったようです」(大手広告代理店の担当者)

 ZOZOマリンスタジアムの日本対オーストラリア戦。公式発表の入場者数は1万7819人だったが、スタジアムの収容人数が約3万人なので、およそ6割しか客席が埋まらなかったことになる。また、12日の東京ドームで行われた日本対米国戦の入場者数は2万7827人と、2015年以降の国際大会(強化試合を除く)では東京ドーム開催の日本戦で初めて3万人に届かなかった。国内で開かれた試合が不入りだったのは、「ファンを軽視した運営が原因だ」との指摘もある。

 前出の広告代理店担当者が言う。

「スタンドがガラガラだったのは、それなりの理由があります。シーズンオフのこの時期、MLBオールスターが来日する日米野球でさえも、チケットの販売は苦労しています。『プレミア12』はチケットが割高で、日本戦は全試合が19時から開始される。次の日の仕事や学校を考えれば、気楽に見に行く気持ちにはなれないでしょう。運営側が、実際に球場へ行きたいと思うファンのことを重視していないと思われても、仕方ないですね」

「プレミア12」を主催したWBSC(世界野球ソフトボール連盟) は、五輪正式競技から除外された野球、ソフトボールの復活を目指して2013年に立ち上がった組織だ。野球とソフトボールは、2020年の東京五輪で正式種目として復活したが、24年のパリ五輪では再び正式種目から外された。このため、正式種目として再度復活するための活動費などを「プレミア12」で生み出す必要性がある。その結果、前出の広告代理店担当者が触れたように、プロ野球のレギュラーシーズンと比べて、チケット代が割高になったほか、日本戦の試合開始時間もプロ野球のナイターに比べて1時間も遅くなった。開始時間を遅らせたのは、「ゴールデンタイム」にあわせて中継することで、CM収入を多く得ようという狙いがあったためだ。

 一方、侍ジャパンの担当記者は「『野球の世界一を決める大会』と謳っていますが、メジャーリーガーをはじめトップレベルの選手が出場していないので、実態とかけ離れている」と話す。

「米国は若手のマイナーリーガー中心で結成されたチームでレベルが低い。日本も辞退者が続出して、日本を代表する“フルメンバー”といえるチームではなかった。たとえば、日本を代表する投手である、ソフトバンクの千賀滉大や巨人の菅野智之はコンディションを優先して、代表を辞退している。将来的にメジャー挑戦を考えて、自分の名前を売りたい選手以外は、積極的ではない人が多いのが実情でしょうね」

 また、海外FA権を行使して、来季のメジャー移籍を目指している西武・秋山翔吾がプレミア12に向けた強化試合で死球を受けて骨折したが、こうしたリスクもまた、日本の有力選手が代表選出を嫌う要因のひとつになっている。

 こうした諸事情を踏まえると、そもそも「プレミア12」を開催する“意義”が問われるだろう。「世界一をかけた戦い」と呼ぶにはふさわしくない世界大会「プレミア12」。運営を含めて、再考すべきではないか。次回大会が開かれるならば……。

週刊新潮WEB取材班

2019年11月19日 掲載

新潮社

最終更新:11/19(火) 5:58
デイリー新潮

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