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映画「記憶にございません」と「桜を観る会」騒動

11/20(水) 10:29配信

メディアゴン

両角敏明[元テレビプロデューサー]

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安倍総理、ピンチですね。失礼ながら笑っちゃったのは、国会で安倍総理が立憲の杉尾秀哉氏に向かって『共産党!』と罵ったら、その直後に共産党から「桜を見る会」の強烈カウンターを喰らってアタフタしていることです。これほどのアタフタぶりは森友、加計以来ではないでしょうか。

この問題、5月にある議員が国会で動き、10月中旬には新聞アカハタが伝えたことですから、総理サイドは答弁の準備はできていたはずです。ところがシドロモドロ。それが、「あれっ、これはもしかして大きな問題なんじゃないの?」という印象を世の中に与えたようでもあります。

その上、安倍さんはまたも国会で息をするようにウソをつきました。

「各界の功労者や功績のある人を招待するもので、PTAなどの功労者と(後援会員が)かぶることもある」
「私は招待者の選考に絡んでいない」
「招待者リストはセキュリティと個人情報の観点から公開しない」

嘘はすぐにバレます。

安倍晋三後援会ツアー参加者の多くが『功労・功績』で選ばれたわけではないことを安倍晋三事務所の文書が証明していたからです。安倍事務所は後援者に「桜を見る会」の案内状を送り、参加者を募っています。「桜を見る会」は国から『招待』されるもので、希望者が申し込むものではありません。申込書には後援者本人ばかりか、家族、友人ほか誰でも申し込めると書いてあります。はっきりしたアウトです。

招待者の選考に安倍事務所が絡んでいますし、後に『総理推薦』があることを政府が認めましたので、どっちにせよ総理は選考に絡んでいます。だから国会答弁はウソです。

招待者リストは5月に廃棄したと政府は主張しています。これを信じる人はほとんどいないでしょう。あの読売の社説でさえウソだろうと言っています。事実として、各省庁には推薦者リストが保存されていると各省が言っています。安倍政権が出さないだけです。招待者がどのような功労・功績なのかを明かせという話ですから、個人情報がご心配なら個人名をお得意の黒塗りにすれば出せる話です。

テロなどのセキュリティ対策というのもウソでしょう。開催後に問題がおきた場合の捜査に出席者名簿が不要のはずもありません。言い添えれば、バス17台で行く安倍後援会ご一行様に対するセキュリティは大甘です。ほぼ誰でも招待状がもらえ、反社勢力も入り込めそうな安倍事務所ツアーご一行様は一般の開場前に会場に入ります。招待状の本人確認も、持ち物検査もないという特別扱いで総理夫妻と記念写真です。もしテロ集団が安倍後援会ツアーに参加すれば、身元を隠し、凶器を持って、何人でも安倍総理に近づくことができるようなシステムです。招待者リストの廃棄より、総理後援会の持ち物検査の方が必要なセキュリティ対策です。

11月13日午前の定例会見で菅官房長官は『政府与党の幹部は招待客決定に関与していない』と言明します。ところがその舌の根も乾かない午後に、来年の「桜を見る会」を中止すると発表した後、『官邸内や与党には推薦依頼を行っている。総理、官房長官など・・・』と真逆の発表をしました。ご自分も含まれています。堂々たるウソ、どれだけ面の皮が厚いでしょうか。内閣記者会が抗議しないのが不思議です。だからナメられるのでは。

その夜の官邸ぶら下がり会見、安倍総理は『官房長官の発表のとおり、私の判断で中止にしました』とだけ言って逃げるように立ち去ります。記者からは、『説明はしないのですか』とか『ひどすぎる』という声が漏れますが総理は無視。この傲慢な態度に批難が集まります。

翌日、総理は豹変しサービス満点を装います。いちど立ち去っても2度も戻って質問に答えました。これはアヤシイと思っていたら、夕方になって突如ぶら下がり会見を総理側から申し出ます。事務所に確認した経緯の説明とのことでしたが、再三『次の予定があるので』と言いながら『何か質問があれば』と記者に質問をおねだりする異常行動をくり返します。ますますアヤシイ。何人目かの記者がこう聞きます。

記者『10分前に急に言われての会見なので、再度会見をされませんか』
総理『聞きたいことがあるなら「今」聞いて下さい』

なるほど、ようするに、国会での説明も、きちんとした記者会見もやらずに済まそうという魂胆の底が割れたということです。安倍総理は記者たちを不意打ちで集め、ドサクサのうちに短時間の会見に応じることで、『丁寧に説明した』という言い訳を作りたかっただけなんですね。日本国の総理大臣、姑息です。

こうした経緯とは別に、「桜を見る会」では、これまでほとんど問題にされていないこともとても気になります。

かつて田中角栄総理が、あらゆる手練手管を駆使して徹底的に『節税』につとめていたことが明らかになり、批判されました。税を徴収する総理大臣が『節税』に邁進するのは道義的大問題でした。今回の「桜を見る会」でも、安倍総理は政治資金規正法では『収支が発生しない限り違法ではない』とくり返しています。安倍事務所ツアーも代金を参加者が直接旅行代理店に支払っているので安倍事務所には収支が発生しない、よって政治資金規正法の対象ではない、という主張です。

しかし、このツアーは旅行代理店には企画も運営も出来ません。国からの招待状がなければ成立しないからです。実態はツアーの募集も主催も運営も、内閣府に名簿を渡し、招待状を送らせているのも安倍事務所です。単に金の流れを形式的に代理店直払いにしたから後援会活動にはあたらない、というのは法の抜け道、脱法行為でしかないように見えます。

前夜祭も同じです。総理の説明では『受付で安倍事務所スタッフが会費を受け取り、ホテル発行の領収書を渡し、会費はまとめてホテルに渡している。お金は事安倍務所を通っておらず、事務所に収支は発生しないので政治資金規正法の対象にはあたらない』。前夜祭の主催は安倍後援会であり明らかな後援会活動です。その後援会活動の会費の領収書をどうしてホテルが発行できるのでしょうか。もし会費はゼロで、ホテルは会場費・飲食費などに対する領収書の束を安倍事務所に預けたのだとすれば、政治資金規正法逃れ以外にそんなことをする合理的理由があるのでしょうか。

もしこんなことが法の抜け道として許されるのなら、政治家のパーティは今後このやり方が蔓延するかもしれません。そんな道義に反する卑劣なことを総理自身が率先してやってよろしいのでしょうか。

三谷幸喜脚本・監督の映画「記憶にございません」を観ました。安倍さんの同窓でお友達の中井貴一演じる、ワルで嫌われ者の総理大臣・黒田啓介があるきっかけで国民に愛される正義の総理大臣に変身するストーリーです。

現実の安倍晋三総理は50%の支持率があってもその理由の第一は『ほかに見当たらないから』。不支持理由の第一は『人格が信用できないから』。映画の黒田啓介総理は支持率サイテー、『ウ』『傲慢』『身贔屓』『隠蔽』『姑息』『厚顔』『不遜』『不誠実』『下品」などなどで国民から非難囂々です。この国民からの非難を賞賛に変えたのものはなにか・・・。映画のネタばらしはさけますが、それはきわめてシンプルで当たり前のことでした。

この映画を安倍晋三総理もごらんになったそうですが、黒田啓介総理にならってピンチの安倍晋三総理も批難を賞賛に変えられますかどうか・・・。おそらく無理でしょうね、このきわめてシンプルで当たり前のことこそ安倍総理がもっとも不得意のことのようにお見受けするものですから。

両角敏明[元テレビプロデューサー]

最終更新:11/20(水) 10:29
メディアゴン

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