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又吉直樹、芸人か小説家かを問われ「どうでもええんちゃうかなって思ってます」

11/20(水) 8:00配信

週刊女性PRIME

『火花』で芥川賞を受賞してから4年。又吉直樹さんにとって初の長編小説となる『人間』が刊行された。この作品は毎日新聞に全200回にわたって連載され、単行本になる前から大きな話題を集めていた。

【写真】又吉直樹という『人間』をパシャり

こういうときに人間はどうするんやろう

「新聞には日曜と祝日を除いて毎日掲載されるので、覚悟はしていましたが、執筆はかなりタイトでしたね。原稿のストックがどんどんなくなって、連載の後半は時間との闘いでした。

 ただ僕自身もギリギリまで粘っていいものを書きたいという気持ちがあったし、追い込まれたからこそ、普段は出てこないような予定調和ではないくだりがいくつも生まれたと思う。単行本になるときに多少は直しましたが、連載時のライブ感は極力残しています」

 タイトルを『人間』としたのもチャレンジングだ。「人間とは何か」という壮大なテーマにつながる言葉であり、又吉さんが敬愛する太宰治の『人間失格』を意識したようにも思える。

「僕は“人間”という言葉が好きなんです。人間が人間のことを人間って言わないですよね。『そこに犬がおったで』とは言っても、『そこに人間がおったで』とはあまり言わないし、自分のことを『僕は人間です』って紹介する人もいないだろうし。だから『人間って何やろ?』って思うんです。

 書いている間、『人間とは何か』みたいな大きなことをずっと考えていたわけではないですけど、『こういうときに人間はどうするんやろう』ということは丁寧に追っていったつもりです」

思い通りには進まない

 本作の主人公・永山は、執筆時の又吉さんと同じ38歳。彼は漫画家になりたかったが夢は叶わず今はエッセイやイラストを生業としている。

 そんな彼のもとに昔の知人から一通のメールが送られてきたことをきっかけに、若いころに共同生活を送っていた同世代の仲間たちとの日々を思い出すところから物語は始まる。

「僕自身も、なりたかったものになれているかというと、全然そんなことはなくて。もともと漫才師になりたくて吉本の養成所に入って、でも最初のコンビを解散して漫才ができなくなり、その後はコント師としてやってきた。

 確かに芸人にはなれたけど、子どものころにテレビで芸人さんたちを見て、『こんなふうになれたらいいな』と思い描いていた状況にはなっていないんですね。僕の人生も、すべてが思いどおりに進んでいるわけではないので、永山の気持ちは、すごくよくわかります」

 一方、物語の中盤で登場するのが、影島という芸人だ。しかも彼は小説も書き、芥川賞まで受賞する。となれば、読者としてはどうしても又吉さんを重ねてしまう。

 作中では、「芸人であることを放棄し、文化人として扱われて悦に入っている」と批判されたことに対して影島が猛反論する場面があるが、これも、又吉さん自身に似たような経験があるのではと思いたくなる。

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最終更新:11/22(金) 13:06
週刊女性PRIME

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