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2020年の世界景気を減速させる7つのリスク

11/20(水) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

 2020年の世界景気は、景気の循環的な回復や、米国の利下げの影響で、春から夏にかけて底入れし、同年11月の米大統領選が近づく中で緩やかに回復するというのがメインシナリオだ。

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 とはいえ、リーマンショック以降の世界的な大規模金融緩和や、日本をはじめとする各国による財政の大盤振る舞いで、もはや景気を刺激するための手段が世界的に限られている。その結果、仮に景気が回復したとしても、そのペースは緩慢なものにとどまるだろう。

 ところで、米国債利回りの前年比と、米国製造業の景況感を示す指数であるISM製造業指数を比較してみると、興味深いことが分かる。

 下図の「米10年債利回り前年比」を見ていただきたい。

 今年6月時点と同水準に低下したのは過去7回ある。ちなみに「利回りの前年比が低下する」というのは、「景気が昨年よりも悪くなる」ことを意味している。過去7回のうちの4回は、その後、ISM製造業指数も低下してリセッション(景気後退)期間に入ったことが図から見て取れる。

 こうした過去のデータを元にすると、現在は「景気が回復するかリセッション入りするか」の瀬戸際であるといえる。筆者が考えるところ、リセッションに入る「きっかけ」となる主要リスクは7つある。

● 民主党勝利すれば世界景気が悪化も

 1.米中対立の継続

 「米大統領選挙や国内経済の減速を背景に、米中間で通商面における何らかの合意がある」というのが市場のコンセンサスとなっている。

 だが、米中対立の本質は軍事面での対立である。つまり、民間を通じて米国の技術を軍事転用しようとする中国共産党の封じ込めと、それに抵抗する中国共産党の争いと総括できる。

 そのため、米中の対立は、形を変え、範囲を変え、深さを変えて継続すると見るべきであり、長期にわたって景気の下押し要因となる。

 トランプ大統領は来年の選挙をにらんで、何らかの合意に達したいと考えているようだが、そもそも対中強硬姿勢が強まった背景を考えると、合意しないという選択肢も十分考えられる。この場合、世界景気の下押し要因となることは間違いない。

 2.米大統領選挙の熱狂と沈静化

 トランプ大統領のウクライナ疑惑を巡り、弾劾調査が始まった。これまでの報道を見るに米大統領がウクライナに圧力をかけた可能性が高そうである。

 しかし、仮にそうであったとしても、米国の上院でトランプ大統領を「クロ」と判断されない限り、弾劾は成立しない。現在、上院は共和党が過半数を握っているため、弾劾される可能性は極めて低い。

 とはいえ、世論調査の結果を見ると、米国民の50%がトランプ大統領は弾劾されるべきとしており、世論の風向きによっては弾劾が成立という予想外の事態もあり得る。

 その場合、ペンス副大統領が大統領に昇格となるが、「トランプ支持者なので共和党を支持している」という有権者が多いため、ペンス副大統領が求心力を維持して、選挙戦を戦えるかどうかは疑問である。

 ペンス氏を中心に選挙戦を展開しても、そもそも大統領が弾劾されている段階で共和党が選挙に勝利するのは難しい。

 そうなった場合、民主党が大統領選・議会選に勝利することになる。そして現在、民主党代表候補として支持率を急速に伸ばしているウォーレン氏が勝利した場合、米景気が悪化する可能性は高い。

 彼女は社会主義的な政策を標ぼうし、高額所得者への課税強化や、GAFAの解体などを公言している。それが実行されれば、米企業の業績は悪化し、選挙戦で無理やり形成された熱狂相場は急速に鎮静化するだろう。

 ウォーレン氏が代表候補になるかどうかはともかく、民主党が勝利すれば、人権問題などで共和党以上に中国に厳しく当たる可能性がある。

 また、サウジアラビアへの対応も今までほど甘くはならないだろう。一方でイランに対する制裁は緩和の方向に向かうなど、トランプ政権時代と真逆の政策が取られることで、再び中東情勢が不安定化するシナリオも想定される。

 ただでさえ中東情勢はサウジアラビアの求心力低下と、トルコのシリア侵攻と、それに伴う「イスラム国」兵士の逃亡で、不安定さを増している。もしも戦闘行為が起きれば、大量に難民が欧州に流入することになり、英国のEU離脱でもめている欧州の政情不安(移民・難民への対応を巡る衝突)が高まり、世界経済に悪影響が及ぶことになる。

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最終更新:11/20(水) 6:01
ダイヤモンド・オンライン

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