ここから本文です

9時10分前を理解できない若手を生んだ日本語軽視のツケ

11/20(水) 6:00配信

日経ビジネス

 先日、講演会後の懇親会で、管理職が20代の社員たちの日本語能力に悩まされているという話で盛り上がった。

【関連画像】日々メールやLINEで“文字”のやり取りはしているのだが……(写真:Shutterstock)

 「9時スタートの研修会なのに1分前にドサドサと入ってきて、5分、10分の遅刻は当たり前。なので『9時10分前には集合するように』と言ったら、キョトンとした顔をされてしまって。ま、まさかと思いつつ『8時50分に来るのよ』と念押ししたんです。そしたら、『あ、そういうこと』って。もう、わけが分かりません」

 こんな“珍事件”に面食らった上司たちの嘆きが、「これでもか!」というくらい飛び出したのである。

 確かに、私自身、店で領収書をもらおうとしたときに、「???」という事態に何度か出くわしたことがある。

【ケース1】

河合「領収書をお願いします」

店員「宛名はどうしますか?」

河合「上、でいいです」

店員「うえで、ですね!」←自信満々感満載

河合「……は、はい」

するとなんとその店員は宛名の部分に「上出」と書いた。

【ケース2】

河合「領収証お願いします」

店員「宛名はどうしたらいいですか?」←必死で丁寧に振る舞っている

河合「カタカナで、カワイ、でお願いします」

店員「カワイですね」←自信満々!

河合「(失笑)」

 ……どちらも20代。ケース1は「上様」を知らず、ケース2は普通は「カワイ、様ですね」とか「カワイ、様でございますね」となるのに、いきなりの呼び捨て。笑ってしまった。

 まぁ、これらは日本語の問題というより、常識の問題。つまり、こういう対応が気になるようになった私が年を食っただけのことだ。

●若者の国語力が下がっている

 一方、上司たちの「言葉が通じない」嘆きは日常の業務にかかわること。たとえ一つひとつはささいなことでも日々繰り返されるとストレスになる。

 というわけで今回は「言葉が通じないワケ」についてあれこれ考えてみようと思う。

 まずは冒頭の懇親会で聞いた“珍事件”から。

「部下に『そのタスクは結構、骨が折れるから覚悟しておけよ』って言ったら、『え? 肉体労働なんですか?』って返された。どうやら骨が折れるを骨折と間違えたようだ」

「社長に褒められた部下に、『現状に胡座(あぐら)をかいてると、後輩に追い越されるぞ!』って活を入れたらキョトンとされた。あぐらをかいて座ることだと思ったみたいです」

「送られてきたメールが一切改行されてないので『読みづらいから、項目ごとに改行しろ』と言ったら、『改行って何ですか?』と言われてあぜんとした」

「営業先で『お手やわらかにお願いしますよ』と言われ、会社に帰る途中で『あの人、やわらかいんですね。どうしたらやわらかくなるんですか?』と真顔で聞かれた」

「高齢のお客さんに取扱書の内容を説明するのに読み上げるだけだったので、分かりやすく自分の言葉で説明してあげてと伝えたが全く改善されず。理由を問いただしたら、取扱書の文章を理解できていなかった」

「分からない語彙があったらその都度辞書で調べるようにと、辞書を渡したら、引き方が分からないみたいで、異常に時間がかかった」

「英語で書かれた仕様書を翻訳させようとしたら、英和辞典に書かれている日本語の意味が分からないと突き返された」

「業務報告書を手書きで書かせているのだが、漢字の間違いが多すぎる。混乱を困乱。特にを得に。性格を生格……」

「消費税が2%上がるという、2%を理解させるのが大変だった」

 ……ふむ。どれもこれも嘘のようなホントの話。もちろん20代でも、日本語を巧みに使い、理解度も高く、文章力がある社員もいる。だが、上司たちは「日本語の能力が低下してる」と日々感じているのだという。

1/4ページ

最終更新:11/20(水) 6:00
日経ビジネス

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事