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気になる悪口はゴミと同じ 「分別」してストレス解消

2019/11/21(木) 7:47配信

NIKKEI STYLE

健康を阻害する要因のひとつにストレスがあります。これはなかなかの難物で、「過度なストレス」は健康維持の大敵ですが、ストレスが全くないのもよくないという二面性があり、一筋縄でいきません。
「適度なストレス」は健康を維持するために必要だと思いますが、この「適度な」とは人により千差万別で、そう簡単に確定できない厄介な代物です。
ストレスにもいろいろ種類がありますが、今回は「悪口」を言う、言われるということのストレスについて考えてみます。
人は、人がいないとさみしいくせに、気に入らない人がいると悪口を言い始める、わがままな生き物です。悪口のない社会は見たことがない。なので「悪口はよくないからやめましょう」というと不自然すぎて破綻します。ではどうすればいいのか。「悪口を言わない」のではなく、「悪口の言い方を工夫する」というようにパラダイムシフトすればいいのです。
それより「悪口を言われる」ことへの対処の方が、現実問題としては重要かもしれません。職場での悪口への対処はまさに人生の縮図であり、各自知恵を絞り独自のスタイルを見つけるべきでしょう。ただその時に、「そこから逃げ出す」という選択肢を常に持つことは重要です。
ここでは悪口に対処する例として、私の作品に対するネット書評への姿勢を書いてみます。ネット書評は大絶賛もあれば酷評もある。酷評が怖くてネットのエゴサーチをしない作家もいますが、私は必ずします。褒め言葉はやる気が湧いてくるのでありがたく頂戴します。酷評には2系統あり、ひとつは感情的に気に入らないというもの。これは「お口に合わずお気の毒でした」とつぶやいて甘受します。もう一系統は「相手を貶(おとし)めることで自分を格上げする」というもの。そうした酷評はなぜか読解力不足のものが多く、その場合は「あんたが読み取れていないだけじゃないか」と言い返します。もちろんその言葉は相手に届くわけはありません。それが何になるのか? そうすれば気分が晴れます。実はそれがストレス解消には重要なのです。

そういう悪口を放置したままでいいのかという問いには「いいんだ」と答えるしかありません。私の作品を嫌いな人がいること、そうした人が自分の意見を表明することは当然の権利で、それを容認しないと息苦しい社会になってしまうからです。
そうした姿勢でいれば、こちらが言い返す機会も許容されます。たとえばAi(オートプシー・イメージング=死亡時画像診断)の社会導入を提唱した私には、執念深いアンチがいます。私を敵視し続ける人が授業でディスっているらしく、学生がツイッターでつぶやくので、エゴサーチするとわかってしまうのです。それは学生がその授業を聞き苦しいと思ったからつぶやいたのでしょう。その結果、特定の人物を不当に貶めるような不適切なことをしていると世に知られ、自分のしたことが自分にはね返っていきます。黙って甘受するのではなく、言い返す準備をしておけば、言い返す機会もつかめて悪口に対する精神的な防御策にもなるわけです。
悪口は決してなくなりません。それはストレスの原因になります。上に述べた悪口への対処法は「分類して細分化し、個別に対処していく」のがキモです。ゴミもごちゃまぜにしたら膨れ上がってしまいますが、分別すれば案外すっきり処理できるもの。それと同じことです。すると悪口の中にも悪質なものと聞き流せるものの区別ができ、悪質なものに対して徹底防御を施せばいい。たわいない悪口は、ほほえましく思えるようになれば、あなたの勝利は確定し、健康増進は間違いないでしょう。
海堂尊(かいどう・たける)1961年千葉県生まれ。外科医、病理医を経て、 放射線医学総合研究所・放射線医学病院研究協力員。2006年「チーム・バチスタの栄光」で第4回『このミステリ ーがすごい!』大賞を受賞し作家デビュー。同シリーズが映像化されたほか、18年に『ブラックペアン1988』(講談社)もドラマ化された。現在、キューバ革命の英雄チェ・ゲバラの生涯を描く「ポーラースター」シリーズを執筆中。2019年時点で、累計総部数は1750万部を超えている。
「健康」「お金」「働く」をキーワードに、人生100年時代を生きるヒントとなる情報を提供する「ウェルエイジング」を始めました。週1回ニューズレターを発行します。登録はこちらから。

最終更新:2019/11/21(木) 7:47
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