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まるでトレード!FA移籍の鈴木大地と美馬学 得したのはどっち?

11/21(木) 7:02配信

FRIDAY

プレミア12も閉幕し、プロ野球は完全にストーブリーグの季節に突入した。そんな中、11月15日には楽天からFA宣言していた美馬学をロッテが、18日にはロッテからFAとなっていた鈴木大地を楽天が獲得することが明らかになった。奇しくも交換トレードのような形で移籍となった美馬と鈴木だが、果たしてどちらの球団にとってプラスになったのか。両選手のこれまでの成績と両チームの状況から探ってみたいと思う。まず二人の簡単なプロフィールとこれまでの通算成績は下記の通りである。

楽天の茂木栄五郎の趣味はドライブ。昨年購入した国産の高級車で仙台の街を疾走する

鈴木大地(桐蔭学園→東洋大:2011年ドラフト3位 来季31歳)
実働8年 1061試合 999安打54本塁打384打点30盗塁 打率.274
ベストナイン2回(遊撃手) ゴールデングラブ賞1回(二塁手)

美馬学(藤代→中央大→東京ガス:2010年ドラフト2位 来季34歳)
実働9年 185試合 51勝60敗0セーブ5ホールド 防御率3.82

鈴木はドラフト3位での入団ながら2年目にはショートの定位置を獲得。その後もポジションは変わりながらもチームの内野手の中心的存在であり続け、実働8年で規定打席到達7回、全試合出場5回は立派というほかない。今シーズンはレアードの加入でプロ入り後初となるファーストと外野の守備もこなしながら、キャリアハイとなる打率.288、15本塁打、68打点をマークして見せた。来季で31歳と年齢的にまだまだ若いのも大きな魅力だ。

一方の美馬もプロ入り2年目には先発ローテーション入りを果たし、3年目の2013年には日本シリーズMVPに輝くなどチームの日本一にも大きく貢献している。しかしアマチュア時代から故障が多く、先発に転向してからの8年間で規定投球回数に到達したのは4回、二桁勝利は1回にとどまっている。今シーズンもチーム2位タイとなる8勝をマークしたものの、防御率は規定投球回数に到達した投手の中では最低の数字だった。

投手と野手ということもあって単純に比較はできないが、ここまでの成績を振り返ってみると鈴木に分があるように見える。しかし楽天の方が良い補強だったと結論付けられるかというと、そうとも言えない。鈴木にとってもチームにとっても大きな問題になるのが内野手の飽和状態だ。今季の楽天の内野陣はファースト・銀次、セカンド・浅村栄斗、サード・ウィーラー、ショート・茂木栄五郎が基本的なメンバーで、この4人はいずれも規定打席に到達している。若手にも渡邊佳明、和田恋(外野手登録だがファーストでも出場)、山崎剛、内田靖人、村林一輝が控えており、ドラフトでも来年で25歳になる小深田大翔を1位で指名している。鈴木の加入は確かに来年のチームにとってはプラスになるかもしれないが、似たタイプの渡邊、山崎、小深田などは出場機会が限られることが予想され、チームの世代交代は確実に遅れることになるだろう。また鈴木にとっても今季のロッテ以上に便利屋扱いされる可能性があるのも気がかりだ。

一方、美馬を獲得したロッテの投手陣を見てみると、若手の台頭はあるものの、今年規定投球回数に到達した選手は1人もおらず、安定した先発投手は確実に不足している。またリリーフ陣も益田直也が残留したものの、ここ数年は顔ぶれが変わっておらず、勤続疲労から成績を落としている投手が多い。このような事情を考えると、美馬が先発に加われば石川歩の、今年テストしたリリーフへの本格的な配置転換や、西武時代のように涌井秀章を抑えに持ってくることなども選択肢として浮上してくることになる。美馬の加入によって、投手陣の再編が良い方向に向かう可能性は高いだろう。

最終的な結果は来シーズンが終わってみなければ分からないが、このようにチーム事情まで総合して考えると、現時点では鈴木を獲得した楽天よりも美馬を獲得したロッテの方が的確な補強だったと言えそうだ。



文:西尾典文(にしお・のりふみ)
スポーツライター。愛知県出身。’79年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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最終更新:11/21(木) 20:00
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