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火星の酸素、春と夏に謎の急増、従来説覆す発見

11/21(木) 7:12配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

落ち着きがなかった火星の酸素濃度、説明つかず

 6年以上にわたり、火星の薄く冷たい空気を観測してきたNASAの探査車が、驚くべき発見をした。火星の大気には、科学者の予想以上に多くの酸素が含まれており、しかもその挙動に奇妙な点があるというのだ。

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「また火星に騙されました!」。11月12日付けの学術誌「Journal of Geophysical Research: Planets」に、酸素の奇妙な挙動についての論文を発表した研究チームに所属する、米ミシガン大学の惑星科学者サシル・アトレイヤ氏はそう述べている。

 論文によると、火星では、北半球の春と夏に酸素濃度が通常の数値から400ppmも急上昇する。これは、火星の大気中にある他のガスの挙動に基づいた従来の推定を30パーセント上回る値だ。酸素濃度の急上昇は、大気のメタン濃度が季節に合わせて増減するという、もうひとつの火星大気の謎とも関連がありそうだ。

 惑星の大気中に酸素があると聞くと、すぐに光合成が行われているのではないかと考えたくなるかもしれない。だが、火星の酸素は非生物的なプロセスによって作られていることがわかっており、これを生命の証拠と解釈することはできない。

 今回の発見からわかるのは、火星表面の化学的性質について、まだわたしたちの理解が及んでいない部分があるということだ。過去あるいは現在の“火星人”に関する直接的な証拠を探すためには、こうした知識の穴を埋めていく必要がある。

 来たる2020年の夏には、複数の国が火星でのミッションを開始することになっている。たとえばNASAの探査車「マーズ2020」は、サンプルを貯蔵して、将来的に地球へ持ち帰る予定だ。欧州連合とロシアもまた、共同でエクソマーズ計画を進めており、探査車「ロザリンド・フランクリン」 を開発している。この自動探査車は、火星表面に深さ1.8メートル以上の穴をあけ、惑星内部の化学組成についてかつてないほど詳細な調査を行う。

「生命の存在を持ち出すのは、最後の手段にすべきです」と語るのは、NASAゴダード宇宙飛行センターの惑星科学者で、今回の研究の主執筆者であるメリッサ・トレーナー氏だ。「わたしたちは、火星がシステムとしてどのように機能しているのかを完全に理解する必要があります」

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