ここから本文です

Amazon不正レビュー問題 中国企業が日本の消費者を巻き込む「新たな動き」

11/21(木) 17:30配信

Forbes JAPAN

11月初旬、一通のハガキが届いた。

そこには「ギフト券を無料でプレゼント」という大見出しと一緒に、「Amazonギフト券」のロゴがプリントされていた。使用しているフォントの色もシンボルカラーであるオレンジだったこともあり、パッと見「Amazonからギフト券を無料でプレゼントされたのかな?」と錯覚した。

裏面を見ると、以前自分が購入したスピーカーがプリントされ、「中国郵政」が印字されていた。

この時点で察しがついた方も多いだろう。そう、「購入した商品のレビューを書いてくれたら、お礼に500円分のAmazonギフト券をプレゼント」という内容だった。

このスピーカーの購入するうえでは、「Amazonレビュー」を参考にしただけでなく、いくつものブログ記事の比較記事を読み比べて「これで間違いない」と思って購入した。そして商品自体は今でも使っているほど、コスパが良くて気に入っている。ハガキを見た瞬間は、「すごいな中国業者! そして、“今更”とても原始的な手法……」と笑ってしまったが、直ぐに考えを改めた。

「今、これは一周回って効果的な施策であると同時に、一般消費者がステルス・マーケティング(以下、ステマ)に飲み込まれてしまう」と思ったからだ。

ちょうど先月放送された、NHK「クローズアップ現代」の特集「追跡! ネット通販 やらせレビュー」、今月公開された東洋経済オンライン「アマゾンで偽レビュー作りまくる不届者の正体」の記事でも取り上げられたように、今「Amazon不正レビュー」が社会問題に挙がっている。

「Amazon不正レビュー」とは、自社の販売商品に関するレビューを、“囲い込んだユーザー”で高評価し、その「口コミ効果」によって消費者に購入の決め手とさせるものだ。そして、競合他社の商品を低評価し、同じく「口コミ効果」で自社商品の購入に誘導するコンボ技も存在する。

ハガキ手法にたどり着くまで

この“囲い込んだユーザー”には様々な経緯があって、今回のハガキオファーに至るようになった。

1. 大量の業者アカウントの参入

レビュー用アカウントを大量作成し、販売商品に高評価、競合他社に低評価を繰り返す。「クローズアップ現代」では何百台のスマホが対象商品に自動書き込みをするシステム(Bot)を開発した工場の映像を放映していた。人が触っていないのにスマホがレビューを書いている光景は恐ろしい世界だった。だが、Amazonが不正レビューや自動書き込みアカウントを見極めていき効果が弱まる。

2. 能動的な一般ユーザーを利用

次に「商品をタダで渡すので、星5のレビューを書いてください(通称:0円仕入れ)」が始まる。「東洋経済オンライン」で報じられたように、生活用品やガジェットなど、様々な商品をタダ手に入れることができることもあり、「ステマ」の危険性を認知しない一般の日本人ユーザーが便乗した。業者によっては、商品タダ+500円ギフト券をもらえることもある。

そして、タダでもらった商品を私的利用するだけでなく、フリマアプリで転売するというサイクルが生まれた。だが、これも、Amazonが不正レビューやアカウントを更に見極め力を向上させて徐々に効果が弱まる。

3. 受動的な一般ユーザーを利用

積極的に0円仕入れを調べて書き込むような能動的ユーザーは「ある程度、見ればわかる」ようなレビューの仕方をしていたので判別しやすかった。だが、これが受動的ユーザーになったらどうだろうか?

例えば、日頃からAmazonを利用していて、自分なりにレビューを書いている商品がいくつもある。その時にたまたま購入したステマ系の中国業者の商品を購入した時に、「Amazon 500円券プレゼントするからレビューを書いて」と誘われたら? 自分はまだしも、ネットリテラシーが高くない両親や友達はどうだろうか?

このような“囲い込んだユーザー”を巡ったイタチゴッコが繰り広げられてきた。そして冒頭で触れた「今、これは一周回って効果的な施策である」と思ったのは、この第3段階にあたるからだ。

「郵送料金+500円」、一般的にハガキ(ポスティング)の反応率は0.1~0.3%だといわれているが、それでも「効果がある」から業者は依頼をする。口コミは自社の売上UPだけでなく、競合他社にとっては売上の激減、時には倒産レベルまで追い込まれる危険性があるからだ。そして、今は中国業者が注目されているが、日本業者が手を染める可能性も忘れてはいけない。

「自分は芸能人でも、インフルエンサーでもないから大した影響力はないだろう」と思っている人も中にはいるかもれない。

だが、私たちはECサイトで商品する際に口コミをチェックする時に“誰でもない誰か”を信じて購入の決め手にしていることを忘れないでほしい。“誰でもない誰か”だから客観性があった時代が、利用される時代になってしまったからだ。

1/2ページ

最終更新:11/21(木) 17:30
Forbes JAPAN

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事