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先祖代々の土地、権利証なくした 売却はできる?

2019/11/23(土) 7:47配信

NIKKEI STYLE

Case:68 諸事情により、先祖代々の不動産を売却処分することになったのですが、金庫に入れてあったはずの不動産の権利証がなくなっており、困っています。権利証がない場合、土地の処分はできないのでしょうか。

■権利証がなくても不動産の処分はできる

結論から申し上げますと、権利証がなくても不動産の処分(所有権移転登記)は可能です。
前回のCase:67に続き映画やドラマの話からのスタートとなって恐縮ですが、日本の古い映画やドラマでは、あくどい債権者が家に押し入ってきて、主人が「それだけは勘弁してください!」と抵抗しているにもかかわらず、むりやり不動産の権利証(「権利書」と呼ばれることも多い)を取り上げられ、それだけで所有権も債権者に移転してしまうようなシーンをしばしば見かけたものです。
しかし、これは誤りで、後述するように権利証の交付だけで所有権が移転するわけではありません。
権利証とは、より正確にいうと「所有権の権利に関する登記済証」のことです。改正前の不動産登記法では、登記をした際、登記によって権利を取得する人に「登記済証」という書類が発行されていました。この登記済証が、通称「権利証」(または権利書)と呼ばれています(2006年からはこれが「登記識別情報」に切り替わっています)。

■ほかの方法で証明、所有権移転はできる

所有している不動産でふだん生活している分には権利証などなくても何も困りませんが、不動産を売って移転登記をしたり、抵当権などの担保を設定したりする場合、その人が本当に所有権者かどうかを確認するために権利証が必要となります。

つまり、権利証は所有者であることの証明手段なのです。権利証というのは大切な書類であることは確かですが、権利証を紛失してしまったからといって不動産の所有権そのものを失うわけではありません。権利証がなくても、ほかの方法でそれが証明できれば所有権の移転は可能です。
なお、仮に紛失した権利証が他人の手に渡っている場合でも、権利証だけで不動産を処分することはできません。それ以外に実印の押なつと印鑑証明書などの添付が必要になるので、実印や印鑑登録カードが権利証と一緒に盗まれたような場合以外は、本人の知らないところで不動産が勝手に処分されてしまう可能性はそれほど高くありません。
登記の手続きは法務局が扱っていますが、法務局は売り主や買い手に面会するわけではなく、提出された書類で審査します。法務局では、権利証という書類を持っており、その内容が法務局に保管されている登記の内容と一致している人を基本的に所有者として取り扱うことになっていますので、「紛失しました」と言われて「そうですか」と安易に認めてしまうわけにはいきません。また、権利証の再発行は認められていません。このため、以下に述べるうちいずれかの手続きをとる必要があります。

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最終更新:2019/11/23(土) 7:47
NIKKEI STYLE

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