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【ルポ・毒親介護】母親から父親への虐待がはじまった。壊れていく両親を看る息子の葛藤

11/23(土) 6:00配信

文春オンライン

【ルポ・毒親介護】うつ、パニック障害を抱え、老親の年金で暮らす独身姉妹の絶望 から続く

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「恨みがあっても逃げれらない!」高齢の「毒親」に介護が必要になったとき、かつて虐待を受けた子どもはどうすればいいのか? 毒親との関係に悩む人たちの生々しい声を紹介し、その実態や心の内に迫った『 毒親介護 』が発売されました。「おしん」のようだった母が老いた父を虐待するようになった“ケース4”をお届けします。

半身マヒになった父の介護におわれる毎日

 東京郊外で工務店を経営する渡辺啓治さん(48歳)は、実家から徒歩10分の自宅に妻と2人の子どもと暮らす。工務店の事務所を兼ねた実家には要介護一の母(80歳)がいて毎日のように顔を合わせるが、もともと啓治さんはここで父(90歳)を介護していた。

 先代の父は腕の立つ職人だったが、家庭内では暴力的な人だった。「しつけ」と称して子どもを殴る蹴る、とりわけ母には厳しく「おしん」のようにこき使うこともあった。

 そんな父は2001年、脳出血の後遺症で半身マヒになる。当時は介護保険に関する情報が乏しく、なにより「介護は家族の役目」といった風潮が強かったため、啓治さんは母とともに、また妻の協力も得ながら在宅介護をつづけた。

 多忙な仕事を抱えながら1日置きに実家に泊まり込み、入浴や着替えの介助、深夜に何度ものトイレ誘導をすればほとんど眠れない。心身ともに疲弊した啓治さんは、実家を離れていた兄と姉に助けを求める。

 2人は父の前妻の子どもで、啓治さんにとっては母親違いのきょうだいだ。過去の家族関係が複雑だったこともあるのか、必死に窮状を訴えてもまったく通じない。助けてくれるどころか、「親父の財産を独り占めにするつもりだろう」などと口汚く罵られる始末だ。

 結局はそれまでどおりの介護をつづけざるを得なかったが、5年が過ぎたころ、妻から思わぬ話を聞かされた。父を介護する母の様子が危ない、というのだ。( #1「要介護状態になった「毒親」を捨てたい──50歳の息子の葛藤」   #2「気力、体力、財力が充実した『ハイブリッド老婆』に苦しめられる長女」   #3「うつ、パニック障害を抱え、老親の年金で暮らす独身姉妹の絶望」 より続く)

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最終更新:11/23(土) 6:00
文春オンライン

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