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味の素が「労働時間1カ月分削減」に成功した、働き方改革の発想とは

11/23(土) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

 視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のシニア・エディターである浅羽登志也氏がベンチャー起業やその後の経営者としての経験などからレビューします。

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● 「プレミアムフライデー」は なぜ浸透しなかったのか

 読者諸兄の会社は「プレミアムフライデー」を導入しているだろうか。

 プレミアムフライデーとは、2017年から経済産業省が経団連などと連携して推進している、働き方改革と消費の拡大の一挙両得を狙った施策だ。

 企業には毎月末の金曜日は15時の終業を推奨。街の商店や飲食店には、その時間に合わせたイベントやセール、特別キャンペーンなどを促す。

 だが、この施策は、ご存じのように当初からつまずいた。月末金曜日は月次の締め日で忙しく、早い時間に終業するなどそもそも不可能、導入しづらい職種もあり不公平、といった声も上がり、期待した通りには浸透しなかった。

 実際、2019年2月にプレミアムフライデー推進協議会が発表した調査結果では、プレミアムフライデーに通常より早く退社できた人は、調査を実施した全17回の平均で11.3%にとどまった。

 まもなく開始から3年が過ぎようとしている。「まだやっていたの?」と驚く人も少なくないのではないだろうか。

 だが、月末の金曜日どころではなく、毎日の終業時間を早め、年間にして1カ月分の労働時間短縮に成功した大企業がある。味の素である。

 本書『味の素 「残業ゼロ」改革』には、その画期的な働き方改革の取り組みが詳細に紹介されている。

 著者の石塚由紀夫氏は、日本経済新聞編集委員。女性活躍推進やシニア雇用といったダイバーシティ(人材の多様化)、働き方改革など企業の人材戦略を30年以上にわたり取材・執筆してきた人物だ。

 プレミアムフライデーのように、月に1回程度の労働時間短縮(時短)だけでは、働き方改革も生産性向上も、とうてい望めない。その日は早く帰れても、その分、別の日に残業してカバーするというなら元も子もない。

 そんな小手先ではなく、根本的に日々の業務の内容ややり方を見直し、全体の業務量を最適化するところから始めなくてはならない。その上でプレミアムフライデーを導入しなければ、あまり効果は望めない。

 本書によると、味の素の大幅な時短を含む大改革を先導したのは、2015年に就任した西井孝明・代表取締役社長だ。

 西井氏は、就任直後から「残業ゼロ改革」をスタート。前年は1996時間だった平均年間総実労働時間を1800時間に短縮するという数値目標も掲げた。

 そして実際に2018年度には「1820時間」に。ほぼ有言実行であり、改革スタートからわずか4年で176時間の削減に成功したのだ。

 176時間といえば、1カ月分の労働時間を超える。それで会社が回るのか、心配になるほどの削減だ。

 しかし味の素では会社が回らないどころか、社員1人の時間当たり売上高(人時売上高)は、2015年度から15%増えているという。

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最終更新:11/23(土) 6:01
ダイヤモンド・オンライン

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