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南米で社会起業、元女性受刑者を花火職人へ

11/26(火) 11:54配信

オルタナ

半年前までソーシャルビジネスのソの字も知らなかった女性が南米で社会起業しようとしている。元女性受刑者に花火の製造を教えて社会復帰を支援していく。「花火は人の顔を上げる。彼女たちの顔も上げさせたい」と語る。(オルタナS編集長・池田 真隆)

その女性は宮浦歩美さん。エクアドルで生まれたわけでも、育ったわけでもない彼女はなぜ、エクアドルで起業するのか、そして、なぜ花火にこだわるのか。

宮浦さんとエクアドルの出合いは学生時代にさかのぼる。海外で暮らすことに興味を持っていた彼女は、すでに卒業するための単位を取得していた3年生のときに行動に移す。

時間はあったので安価で長期的に海外で暮らす方法を探していた。インターネットで検索していると、NGOでのボランティア活動を知る。低価格で、住むところも付いていて、現地の人とも交流できる条件は、彼女が探していたものだった。

そうしてボランティアを募集しているNGOを検索すると、偶然見つけたのがエクアドルで活動する団体だった。

エクアドルには行ったことがないし、知識があるわけでもなかった。当然、スペイン語も話せない。それでも海外で暮らしてみたいという好奇心の赴くまま、エクアドルに行くことを決めた。これが彼女とエクアドルの接点である。

運び屋に利用される妊婦

彼女が応募した団体はエクアドルの首都キトにある女性刑務所を活動拠点としていた。刑務所の中に幼稚園があり、受刑者たちは子どもと刑務所の中で暮らしている。

受刑者はシングルマザーが多く、子どもの精神面と安全面を考慮して、母親と暮らせるようにしている。規則では3歳までが入れるが、10歳くらいの子どももいたという。

宮浦さんは刑務所内で働くうちに、2つの現実を知ることになる。それは、刑務所内で育った子どもが大人になったとき、罪を犯す人が多いということ。そして、受刑者である母親の再犯率の高さだ。

罪を犯してしまう原因を探ると、その75.8%が、貧困やシングルマザーという弱い立場を利用されて、犯罪に手を染めてしまったことが分かった。

「例えば、妊娠中の女性は空港でX線検査をされないので、麻薬の運び屋として利用されやすい。彼女たちの多くは、悪いと分かっているが、子どもを養うために引き受けざるを得ない状況にある」(宮浦さん)

ボランティアをしているときに出会った受刑者にマリアがいる。彼女は、母親の育児放棄と暴力によって13歳で家出をし、麻薬運びに手を染めた。

その後、2回服役し、その間、異なる男性と2人の子どもを持った。マリアも他の受刑者と同じように、「子どもを病院に連れていくために、そうするしかなかった」と告白。

「でも本当は、ここを出たら人生をやり直したい。だけど、どうせ無理だと分かっている」と社会復帰を諦めていた。
マリアにこう言わせてしまう背景に、社会の無理解がある。元受刑者への偏見は根強く、例え友人でも「見限られて、助けをもらえない」。

宮浦さんは、社会復帰を諦めて下を向く彼女たちの顔を上げさせたいと決意し、日本に帰国後、花火の打ち上げを企画する会社に就職する。

上空を見上げる花火を彼女たちに見せれば、きっと希望を見出してくれるはずだと考え、入社を決めた。

いつかエクアドルでの花火大会を催したいと思って働き数年後、福島県猪苗代町で開かれた花火大会でエクアドルをテーマとした花火の企画に携わる機会を得た。

念願だった仕事をでき、その大会で打ち上げた花火への思いを紙芝居にして、受刑者と子どもたちに見せた。が、学生時代に見た光景と何も変わっていないことに気付いた。

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最終更新:11/26(火) 11:54
オルタナ

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