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ローマ教皇フランシスコが手を差し伸べない、1億人の中国人クリスチャン

2019/11/26(火) 18:55配信

ニューズウィーク日本版

<救いを待つ1億人の中国人クリスチャン>

ただフランシスコ教皇が、現在まさに「痛みの中」で「苦しんでいる信者」に対して明確なメッセージを送らないのには不満がくすぶる。ほかでもない香港と台湾、そして中華人民共和国の「ヒツジ」たちだ。

教皇は就任以来、「宗教は人民を毒害する麻薬」であり、「カトリックは西欧列強の中国侵略の先兵だ」との歴史観を持つ中国政府と「密談」を重ねてきた。台湾の信者たちを裏切って共産中国と国交関係を結ぶのではないかと取り沙汰されたバチカンの動きに対し、台湾から反発が起きた。

それでも教皇は昨秋、中国政府と彼らが任命した司教の正統性を追認することで合意した。その後、民主主義を求める香港の若者たちと市民が抗議に立ち上がって半年がたったが、教皇から彼らへの支援のメッセージは届いていない。

日本のカトリック人口は44万人であるのに対し、地下教会信者を含めた中国のクリスチャンは1億人に迫る勢いを見せている。習近平(シー・チンピン)政権から苛烈な弾圧を受けている地下教会の中国人クリスチャンも教皇からの救いを待っているはずだ。しかし、教皇は決して「内政干渉」しない。引き続き「裏取引」を進めるためだろう。

<本誌2019年12月3日号掲載>

楊海英(本誌コラムニスト)

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最終更新:2019/11/26(火) 20:03
ニューズウィーク日本版

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