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五輪の夢破れた「朝比奈沙羅」の並外れた英語力、獨協医大合格で来春から医師を目指す

11/27(水) 11:01配信

デイリー新潮

「文武両道」のユニークな柔道家、朝比奈沙羅(23 パーク24)の東京五輪代表の夢が消えてしまった。朝比奈沙羅は大阪市中央体育館(港区)で開かれていたグランドスラム大阪最終日の11月24日、女子最重量の78キロ超級で銅メダルとなった。しかし、ライバルの素根輝(19・環太平洋大学)が8月の世界選手権(東京)に続いてこのクラスで優勝したことで、この日開かれた全日本柔道連盟の強化委員会が「両大会の優勝者は代表にする」という内規に基づき、満場一致で素根を五輪代表内定の第一号に決めたためだ。

 五輪代表へ背水の陣だった朝比奈はこの日、準々決勝でブラジルの選手に豪快に投げられて一本負けし天を仰いだ。気を取り直した敗者復活戦では、オランダの選手を得意の巻き込み気味の払い腰から袈裟固めで押さえて一本勝ちして3位決定戦に臨んだ。冨田若春(コマツ)との決定戦は拮抗したが相手の反則で勝利となった。

 ライバルの素根も順当に勝ち上がって決勝へ進んだため、この時点では、素根が「ずっこけて」くれればチャンスが残るという「他力本願」でしかなかった。

 素根は決勝でロンドン五輪の王者だったキューバのI・オルティスと対戦。自分よりはるかに大きな相手の組み手に苦しんだが、ゴールデンスコア(サッカーで言うサドンデス)の延長1分53秒、鍛えた腕力でオルティスを引き付けるや、左足を飛ばす大内刈りで見事に「技あり」を取って優勝した。

 2004年のアテネ五輪で優勝した塚田真希以来、途絶えている五輪の女子最重量級金メダルを目指すことになった素根。会見で年長のライバルのことを問われ「朝比奈さんがいたから強くなれた」と話した。

世界選手権での負傷も響く

 朝比奈は2016年のリオデジャネイロ五輪には出場していないが、恵まれた体格と125キロの全体重を相手に預ける強烈な払い腰を武器に一昨年、昨年の世界選手権で連覇するなど最近まで、東京五輪代表の最有力候補と見られていた。ところが福岡の高校生だった素根が急速に台頭してきた。「若い芽は潰す」の強気な言葉通り、当初は素根にも3連勝していたが、その後は5連敗を喫する。8月の世界選手権も朝比奈は早々に外国選手に敗れて敗者復活戦から3位に勝ち上がっていたため、今回同様、素根との直接対決はなかった。しかし直接対決では試合が長くなると若い素根の無尽蔵の体力に負けて、朝比奈が息切れしてしまうことも多かった。

 素根と並んでの表彰台から降りる際、朝比奈は素根の肩をポンと叩いて優勝を労った。直後の囲み取材で朝比奈は「自分にとって、東京五輪は最初で最後の五輪、自分の人生がかかっている。ここで引退はしません。(五輪代表は)まだ決まっていないし」と話していたが表情はやはり悔しそうで、既に「五輪代表は絶望」とは感じていたはず。その直後に素根の代表が決定してしまった。

 実は世界選手権で右ひざを負傷してしまい、本格的に練習ができたのは二週間ほどしかなかった。「一日一日を大事に過ごしてきた。怪我を考えればよくやったと思うけど合格点ではないです」と冷静に話したが、その目は少し赤かった。

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最終更新:11/28(木) 9:54
デイリー新潮

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