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米中覇権争いで東西分裂再び?「中国大経済圏」出現の現実味

11/28(木) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

● 部分合意が成立しても 米中覇権争いは終わらない

 米中の貿易協議が、部分合意(第1段階の合意)に近づいてきた。合意時期が来年にずれ込む可能性は残るものの、合意成立の蓋然性は相応にあると考えて良いだろう。

 両国が追加関税の掛け合い合戦を繰り返していた時期と比べれば、事態は明らかに改善しており、世界経済や金融市場にとってのリスクも少なくとも短期的には低下している。

 両国を部分合意に向かわせている最大の要因は、来年の米大統領選挙が視野に入ってきたことだ。中国による農産物の輸入拡大を含む合意が成立すれば、トランプ大統領にとっては、自身の支持層である農家に対して、選挙でその政治成果を強くアピールできる。米中貿易協議の部分合意は、トランプ政権の重要な選挙対策だ。

 日米貿易協議においても、トランプ政権は自動車分野を棚上げし、日本の農産物関税率引き下げを柱とする部分合意としたのも、全く同じ構図である。

 しかし、部分合意が成立しても、両国間の対立が解消に向かうわけではない。米中協議を通じてトランプ政権が目指してきたのは、国家が経済活動を強く統制する、中国の「国家資本主義」の変革だ。

 トランプ政権は、国有企業重視、巨額の産業補助金などに代表される中国の国家資本主義を、米国の経済、産業、技術、安全保障上の優位を揺るがせかねない脅威、と考えている。しかし、国家資本主義の見直しは政治体制の見直しにも直結しかねないことから、中国政府はそれを決して受け入れない。

 トランプ政権が米中協議で全面的な合意を断念して部分合意を先行させることを選んだのは、国家資本主義の修正を巡る中国政府の抵抗が非常に強いことを、交渉を通じて理解したからに他ならない。

 米国議会には党派を超えて非常に強い反中論があり、仮に民主党政権が成立しても、それが対中融和政策に転じるとは考えにくい。この点からトランプ政権は、対中政策でいわば「パンドラの箱」を開けてしまったのではないか。イデオロギーの対立ではなく、「国家資本主義」と「市場主義」との間の経済システムの優劣を競う米中の覇権争には、終わりは見えない。

● 一帯一路参加国の 経済規模は世界の3割に

 米中間の対立が今後も続き、中国通信大手ファーウェイのように、中国製品が先進国市場から締め出されていけば、中国は経済成長を維持するために、独自の経済圏を構築していくことを迫られる。その際にベースとなるのは、一帯一路構想の参加国だ。

 そこで、一帯一路をベースに新たに中国経済圏が構築されていく場合、世界の中でどの程度の規模になり得るのかについて、以下では大胆に検討してみたい。

 中国の一帯一路構想に参加している国の範囲は必ずしも明確ではないが、中国商務部や外交部が示した資料では、2016年末時点で中国を除き64カ国とされていた。

 この64カ国は、2016年末時点で総人口が32億人、名目GDP総額が12兆ドルだ。それぞれ、世界に占める比率を計算すると43%、16%である。これに中国を加えると、中国を含む一帯一路参加国は世界の総人口の62%、世界の名目GDPの31%を占める巨大経済圏であることがわかる。人口の構成比よりも名目GDPの構成比が半分と低いのは、1人当たり所得が比較的低い国が多く含まれていることによる。

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最終更新:11/28(木) 6:01
ダイヤモンド・オンライン

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