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死は必ず来る。死ぬ瞬間はつらいのか、痛いのか、それとも幸福なのか

11/29(金) 13:01配信

現代ビジネス

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家族や友人を見送った経験はあっても、自分自身は絶対に経験したことがないのが「死」だ。その本質を深く知ることで、よりよい死だけでなく、よりよい生を送ることができる。
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死ぬ瞬間はこんな感じです。死ぬのはこんなに怖い

死の本質は「3種類」ある

 白衣姿の医師が聴診器を胸に当て、心音停止と呼吸音停止が確認された。ペンライトで瞳孔に光を当てても、その大きさは変わらない――。医師は時計に目をやりながら宣告するだろう。

 「ご臨終です」

 このとき、あなたは物理的に死んだことになる。誰にも等しく、この日は必ず訪れる。ただし、それはいつなのか? その間際、あなたはどういう気持ちになるのか? そして、死後、あなたはどうなるのか? 死とは何か? 
 こうした疑問に対して、本当の正解は存在しない。体験者がいないからだ。死の謎は、人を不安と恐怖に陥れる。

 だから仏教は輪廻転生を説く。死者はまた生まれ変わり、さらに死んで生まれ変わる……。キリスト教やイスラム教は、信じるものは死後に天国に行けると説いている。

 だが、それでも人は不安なままだ。東京大学名誉教授の医学博士・矢作直樹氏は、「人が死に関して感じる恐怖は3種類あると思う」という。これこそが、死の本質だ。

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(1)死ぬまでのプロセス
(2)よくわからない死後
(3)残される人との別離
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 まず(1)。死の直前に苦しむのではないか、のたうちまわるのではないかという恐怖がある。痛みのなか、無念のまま、人は死ぬのか? 

その瞬間「心」はどこへ行くのか

 2000人の死亡診断書を書いてきた「看取りの医者」であるホームオン・クリニックつくば理事長の医学博士・平野国美氏が語る。

 「多くの人は、死を迎えるとき、1週間から2週間前に昏睡状態に入っています。おそらく音や声は聞こえているけれど、言葉の意味を理解しているとは思えません。

 脳内麻薬のエンドルフィンが出ており、『夢』を見ているような状態になっているでしょう」

 病状の進行の過程で激しい痛みや苦しみを覚えることはあっても、本当の死の直前には、人は意識を失うものだという。矢作氏も言う。

 「今までの看取り経験でいえば、がん患者でも老衰で亡くなる方でも、最期は平穏で、穏やかな表情で旅立ちます。人間の体や脳は『死』を受け入れるようにできている」

 (2)「死後がわからない」という恐怖はどうか。『人はなぜ「死ぬのが怖い」のか』著者で慶應大学教授の前野隆司氏は言う。

 「動物は死の恐怖を持ち得ない。進化して脳が発達し、心を持った人間は、自分がいなくなった後を想像できてしまうことから、死への恐怖を持ってしまったのです」

 そのために、宗教は「死後の世界」を設定したし、古くを遡っても、ギリシア神話には「冥界」が、古事記にも「黄泉国」が描かれる。矢作氏も、輪廻と死後の世界を信じているという。

 だが前野氏は、「人間の持つクオリア(心)は死の瞬間に失われる。死を感じることも、その死によって恐怖に戦くこともない。

 本当の死は誰にも味わうことができない以上、人は勝手に『死』を想像して怖がっているだけです。怖がっても仕方がない」と考えている。

 最後に、死といえば(3)の「残される人との別離」だ。矢作氏の意見。

 「あなたが『この世での役割を終えた』と考えれば、未練を断つことはできるはずです。この世での役割を終えたからこそ死を迎えるのであって、別れる家族たちはその貢献を受けて、これからも生きていくのです」

 死とは何か? これを押さえたところで、「よく死ぬための教養」を、項目別に見ていこう。

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最終更新:11/29(金) 13:01
現代ビジネス

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