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「性の下層階級」をスーパーヒーローに 米コミック作家の挑戦

2019/11/30(土) 19:36配信

Rolling Stone Japan

この世のセックスワーカーにとって、「履歴書の空欄を埋めてください」と言われるのは、就職の面接では日常茶飯事だ。ボンデージやポールダンスといったスキルはたいてい割愛され、代わりにMicrosoft WordやAdobe Photoshopなどが記入される。だが脱獄アクションアドベンチャーコミック『Safe Sex』(略してSFSX)では、こうしたスキルが大活躍する。

写真4点:「性の下層階級」をスーパーヒーローに 米コミック作家の挑戦

ティナ・ホーン氏が原案を、マイケル・ダウリング氏が作画を担当するSFSXは月間コミックシリーズは、7巻全て出版されたら、1冊にまとめて再出版される予定だ。「1冊のペーパーバックに収録するから、小説感覚で読めると思うわ。もしくはTVドラマの1シーズンをまとめたDVDセットみたいな感じ。『バフィー~恋する十字架~』みたいに」とホーン氏。SFSXの製作に当たってホーン氏は――ローリングストーン誌の寄稿記者で、性教育の指導者で、ポッドキャスト『Why Are People Into That?(原題)』の司会者でもある――セックスワーカーとしての自らの実体験を下敷きにした。「私の経験からいうと、セックスワーカーは特殊なスキルを備えた実社会のスーパーヒーロー」とホーン氏は言う。「力を合わせて権力と戦う術を心得ているの」

ーSFSXのコンセプトは?

SFSXの舞台は、私たちが生活する現代の世界とよく似たアメリカのディストピア。そこは完全に意図的よ。社会派スリラー、それか社会風刺ね。どの辺りがディストピアかというと、セクシャリティや性の表現が厳重に監視、支配、統制されているところ。あまりにも極端に不条理だから、自分のセクシャリティや性自認を理由に差別を受けたことがない一般的な読者でも、これがどんなにひどいことかわかってもらえると思うわ。

物語のヒーローは性の下層階級――クィアやセックスワーカー、ドラァグ、レザーフェチなどなど。彼らは自分らしく生きて、自分が望む形で人を愛して、コミュニティや友情を築いて、自分が選んだやり方で自分を表現し、生計を立てる権利のために戦いを挑むの。悪役にはまず、アメリカ市民の生活を支配する超保守派政府、通称“パーティ”。それに、妥協してパーティ組織内の権力争いに身を投じた連中。例えばボアマンは第二世代のフェミニストで、味方になってくれそうな人々を踏み台にして、パーティ内部のトップに上り詰めようと狙っているの。あとは中流階級出身の白人のゲイ、ドクター・パウエル。彼はより過激で変態だと思うクィアの人を、実権を手にするためならためらいなく見捨てるような男よ。

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最終更新:2019/11/30(土) 19:36
Rolling Stone Japan

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