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香港情勢を甘く見た中国、巻き返しに出る可能性も

11/30(土) 6:00配信

JBpress

 (舛添 要一:国際政治学者)

 11月24日に投票が行われた香港の区議会議員選挙は、民主派の圧勝という予想外の結果となり、世界中に大きな衝撃を与えた。とくに、親中派の勝利を信じていた習近平政権には、大きな誤算となった。

香港島のトラム駅に書かれた「駆逐共党(共産党を駆逐せよ)」のスローガン

 さらに、19日に米議会を通過していた「香港人権・民主主義法案」にトランプ大統領が署名し、米中間に新たな火種が生まれた。

■ 次の焦点は行政長官選挙と立法会選挙

 香港政府が、4月に、容疑者を中国に引き渡すことを可能にする逃亡犯条例改正案を立法会に提案し、これに抗議する市民が街頭に出たのが6月である。デモに参加する人々の数は増えていき、6月16日には200万人にも達した。民主派は、(1)条例改正案の撤回に加え、(2)デモの「暴動」認定の取り消し、(3)警察の暴力に対する独立調査委員会の設置、(4)抗議活動で拘束された者の釈放、(5)行政長官選挙の民主化の5項目要求を掲げている。

 その後もデモは続き、遂に9月4日、林鄭月娥行政長官は条例改正案を正式に撤回した。しかし、民主化を求める市民の抗議活動は続いていった。10月5日には、「覆面禁止規則」が施行され、それがまたデモを過激化させるという悪循環になり、11月8日には、現場で負傷した男子大学生が死亡した。その3日後の11日には、警官の発砲で男子学生が重態になり、抗議活動が毎日続くようになり、17日には香港理工大学を学生が占拠して警官隊と攻防を繰り返す事態に発展した。

 このような中で、区議会議員選挙のキャンペーンが10月18日から始まり、11月24日に投票が行われたわけだ。選挙期間中には、民主派、親中派双方の候補者や選挙事務所が襲撃されるなど混乱が続いた。このため、選挙が予定通り行えるかどうか不安視されたほどであった。

 区議会議員選挙は、親中派の特権階級による間接選挙である行政長官選挙と違って、市民が直接投票する普通選挙であり、民意が反映される。18区議会の452議席を選ぶが、それ以外に、親中派に27議席を割り当てる仕組みとなっている。

 今回は、過去最多の約1100人が立候補し、投票率も71.2%と過去最高であった。そして結果は、民主派が388議席で約85%の議席を獲得する圧勝であった。親中派は改選前には7割を占めていたが、59議席と惨敗した。その他は5議席である。2015年の前回の選挙(総議席数は431)では、民主派が120議席、親中派が293議席、その他が18議席だったので、地滑り的な大変動が起こったと言ってよい。まさに民主化を求める市民の声が反映されたのである。

 行政権のトップと国会(立法会)を選ぶ選挙は普通選挙ではないために、今回の区議会議員選挙の結果がなおさら重要になる。

■ 惨敗で浮上する立法会選挙の仕組み変更の可能性

 行政長官の選挙は、1200人の選挙委員による間接選挙で、内訳は、業界団体別の選挙で選ばれた926人、立法会枠70人、区議枠117人、中国全人代・人民政治協商会議枠が87人となっている。今回の区議選の結果で、117人枠の大半を民主派が占めることになるが、これは選挙委員全体のわずか1割程度であり、業界団体の中の民主派を合わせても、過半数にはほど遠い。しかし、何の影響もないわけではない。

 また、立法会の選挙は、定数70議席のうち、比例代表による直接選挙が35議席、業界団体別の選挙が29議席、区議枠が6議席である。民主派は現在25議席であるが、次回選挙でどれくらい上積みできるかが重要である。

 区議会議員選挙は小選挙区であり、死票が多くなる。民主派は議席で8割を超えたが、得票率で見ると57%であり、親中派が41%である。立法会の直接選挙は比例代表制であるので、区議選と同じ得票率ならば、民主派が20議席、親中派が14議席となる。区議枠の5議席を確保すると、民主派議席は25議席。そこで、過半数にはあと10議席以上必要で、親中派が占める業界枠29議席の中から10議席をもぎ取るのは困難である。

 しかし、万が一、そのような事態になれば、習近平政権としては取り返しのつかないことになる。香港で制定される全ての法律が反中国的なものになってしまう危険性があるからである。

 だからこそ中国は、今回の結果を驚愕の念をもって受け止めた。中国では、区議会議員選挙の結果に関する報道は一切ない。北京政府は、これまで通り親中派が勝つと確信していたようである。それは、デモ隊の暴力行為で経済活動を阻害され、不満がたまっている「サイレント・マジョリティ」は民主派に投票しないだろうという安心感があったからである。この楽観主義は、事態を正確に分析することに失敗したことを意味し、読みは完全に間違っていた。

 そこで、習近平政権は、今後、立法会選挙の仕組みを変える可能性すらあり、香港の自治権を制限する方向に動く可能性がある。「一国二制度」は認めても、香港はあくまでも中国の一部であり、北京に刃向かうことは許さないという立場である。

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最終更新:12/1(日) 21:55
JBpress

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