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その「ふらつき」「めまい」「立ちくらみ」放っておくと、死にますよ

11/30(土) 8:01配信

現代ビジネス

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多くの高齢者が悩まされる「ふらつき」。いつも現れる症状だからこそ、つい、慣れてしまって、放っておいてしまいがちだ。しかし実は、ふらつきこそが、身体が内側から発する大病のサインなのだ。
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初期の胃がんが見つかった

 「先日、ゴルフのラウンドに行ったときのことです。16番ホールから次のホールへ移動するときに、クラクラと立ちくらみのようなめまいがして、ふらついたのです」

 北原利久さん(仮名、72歳)は、こう振り返る。

 「私は70歳を過ぎたいまでも仕事を続けていて、何よりも健康に気を付けている。急に立ちあがってめまいがしたならまだしも、普通に歩いていただけなのにフラフラしたのはいままでにないことだったので、気にかかったのです。

 最終ホールまで回ったときには冷や汗が出たので、『ちょっとした症状とはいえ、念のために』と病院を訪れました。

 血液検査を受けると、医師からヘモグロビンの値が、通常の半分ほどにまで下がっていると告げられ、翌日、胃カメラで診てもらったところ、ステージIの胃がんが見つかりました。腫瘍からじわじわと出血し、貧血になってふらつきが起きていたのです」

 65歳以上の人の約3人に1人が、めまいやふらつきを訴えているというほど、高齢者にとってふらつきは馴染みのある症状だ。しかし、だからといって、甘く見てはいけない。60歳を過ぎて、こうした身体の異変を「たいしたことない」と考えていると、死に至る病を見逃してしまう。

 「ふらつきやめまいは、耳や眼、脳などさまざまな器官が原因となって起こります。なかでも緊急性が高いのが、消化管出血です。胃、食道、大腸、直腸などで出血が起きると、血圧が下がって脳に血液が回らなくなり、ふらつきが起きます。すぐに止血して、輸血を行わないと、命を落としかねません」(洛和会丸太町病院救急・総合診療科部長の上田剛士氏)

放置して脳にがんが転移

 前出の北原さんは、ふらつきを感じてすぐに病院にかかったため、大病を早期発見し、切除して根治できたが、こうした幸運に恵まれるのは、むしろ稀だという。

 東京オンコロジーセンター代表で、外科医・腫瘍内科医の大場大氏の話。

 「私のもとにも、『1年前から慢性的にふらつきが起こっていて、いくつもの病院にかかったが、いっこうに治らない』と訴える患者さんが訪れました。腹部を触診してみると、こぶし大のしこりがあり、かなり進行した胃がんが見つかりました。精密検査の結果、胃がんのステージはIIIで、すでにリンパ節にも転移していました。

 消化管から発生するがんは、ゆっくりと出血し、慢性的な貧血状態を引き起こします。そのため、急激にふらつきが出るのではなく、月単位、年単位でふらつきが増えてきます。症状は徐々に悪化していくので、患者さんもふらつきに慣れてしまって病院を受診しないこともあり、正しい診断が遅れてしまうのです」

 ふらつきは、最初は我慢できる程度のものとして現れ、徐々に日常生活に支障をきたすほどに悪化していく。だが、悪化してから病院で検査を受けるのでは遅すぎる。ちょっとしたふらつきこそが、がんの始まりだと考えて、早い段階で手を打つことが大切だ。

 「一般的に、胃がんと言えば、『胃が痛む』、『食欲が落ちる』、大腸がんと言えば、『便に血が混じる』といった予兆があると考えられていますが、必ずしもこうした異変が現れるわけではありません。がんは、腫瘍の内部で出血・壊死を起こしやすい。それゆえ、血便や下血はないのに、貧血になって、ふらつきが出るのです」(大場氏)

 目に見える症状が現れないからこそ、身体が発するサインに耳を傾けたい。

 ちょっとしたふらつきから、肺がんが見つかることもある。

 「ふらつきを訴える患者さんから、肺小細胞がんという、肺がん全体の15%を占め、増殖・進行速度の速い肺がんが見つかったこともあります。

 この患者さんは、せき込んだり、息苦しかったりといった、肺がんでよく起こる症状には襲われていませんでした。ただ、『ふらつきがあるから』と病院を訪れたところ、『おそらく耳からくるめまいでしょう』と言われて、めまいを止める薬を処方されていました」(大場氏)

 症状が治らず、別の病院で検査をしたところ、がんが見つかり、しかも脳に転移していたという。

 「ふらつきの原因は、がんが放出するホルモンや炎症性の物質によって全身に障害が出る『傍腫瘍性神経症候群』だった可能性があります。肺小細胞がんの場合、特に併発しやすい。がんが放出した物質によって、血圧や血糖値が下がって、ふらつきが出ていたと考えられます。

 残念ながら、この患者さんは、ふらつきを感じ始めてから半年ほど経ったころに亡くなりました」(大場氏)

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最終更新:11/30(土) 20:46
現代ビジネス

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