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<目撃>無数の母ウミガメが海を泳ぎ、一斉産卵「アリバダ」へ

12/1(日) 7:22配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

おそらくこれまで撮られたことのない貴重映像、研究者が公開

 中米、コスタリカのオスティオナル国立野生生物保護区には、毎年、何万匹ものウミガメのメスが、産卵のため砂浜にやって来る。しかもその到来は何日かに集中している。

【動画】無数の母ウミガメが海を泳いで産卵場所へ向かう貴重映像

 スペイン語で「アリバダ」と呼ばれるこの現象を研究している生物学者バネッサ・ベジー氏は、その一環で、海を泳いで砂浜を目指すウミガメたちをドローンで撮影した。ほとんどがヒメウミガメだ。2016年11月のある日、ベジー氏はこれまでに記録されたなかで最も密集した群れを撮影することに成功した。

「何か特別なことが起きているとすぐに気づきました」と、ベジー氏は撮影当時を振り返る。「今でもこの動画を見るたびに感動します」

二つとない特別な場所

 これほど大規模なアリバダが見られる場所は世界的にもめずらしい。ここより多くカメが到来するのはメキシコ、オアハカのエスコビージャ海岸くらいと考えられている。

 ところで、なぜ今になって2016年の動画を公開したのか。ベジー氏は、ウミガメが以前より大きな脅威にさらされているからだと言う。コスタリカでは旅行者が増えているほか、住宅地の開発も進んでいる。ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーでもあるベジー氏は動画を公開することで、ここが二つとない特別な場所であること、絶対に守るべき場所であることを知ってほしいと考えている。

「アリバダの水上の様子をとらえた動画は初めて見ました」と、米サウスイースタンルイジアナ大学の生物学者ロルダン・バルベルデ氏は語る。「この現象を記録した写真は、ほとんどが海岸の写真です」

 ベジー氏がドローンで撮影した動画では、ウミガメは1平方メートルごとに1匹くらいいるように見える。これは前例のない密度だ。雨期全体を通してみると、1平方キロ当たりに記録されるウミガメの数は平均250匹。それでも十分に密集している。動画をさらによく見ると、浮かび上がってくるウミガメもいて、水面下にはもっと多くのカメがいるらしい。

 ベジー氏は、これほど多くのカメが主に8月から10月にかけてこの場所に集まる理由を解明したいと考えている。海流、海岸の方位、砂の種類などが関係している可能性がある。また、アリバダを大規模にすることで、カメが生き残るチャンスを高めているのかもしれないと、ベジー氏は分析している。

 国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは、6種のウミガメが絶滅危惧種に指定されているが、ヒメウミガメもその一つだ。ベジー氏によれば、ヒメウミガメのライフサイクルにおいて、アリバダは極めて重要な役割を果たしているという。

「アリバダは謎の多い現象です。カメたちがどのように群れを形成するのかは、まだわかっていません」

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