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【ヒットの法則70】スマート・ロードスタークーペBRABUSはスポーツカー好きをくすぐるクルマだった

2019/12/1(日) 18:30配信

Webモーターマガジン

これほどホビーでファンなスポーツカーはない

2005年、スマートの高性能バージョン、BRABUSが限定で登場している。スマートBRABUSの登場はこの時が2度目で、ロードスタークーペBRABUSには101psまでパワーアップされた698ccの直3SOHCインタークーラーターボエンジンが搭載されていた。スポーツカーとしての完成度は非常に高く、人気も高かった。2005年に行われたテストドライブの模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2005年9月号より)

【写真】リアビューとインパネ、エンジンを見る

結論から言うと、素晴らしいスポーツカーだったが、必ずしも魅力的な商品とは言えない。このクルマの評価はそれに尽きるのではないか。

メルセデスベンツのチューニングで有名なBRABUS(ブラバス)社と、スマートを生産するスマート社が合弁会社スマートブラバス社を造り、そこでチューニングされたのが一連のスマートBRABUSである。日本市場における正規販売は今回が2度目。いずれも限定販売で、今回でいうとフォーツークーペベースが70台、ロードスタークーペベースが30台である。両タイプともノーマルモデルを上回るパワーの698cc直3SOHCインタークーラーターボエンジンが積まれる。なお、フォーツー・カブリオおよびロードスターベースのモデルは今回は用意されない。

見た目からして、迫力モノだ。全幅は変わらないが、もともと張り出したホイールケースには前後異サイズの17インチタイヤがびっしり収まっており、その昔のポルシェターボのような異彩を放っている。BRABUSのエアロパーツが奢られ、ライト周りが単色となったスタイリングも見栄えがいい。ノーマルの2トーンカラーはユニークだが、大人が買うには可愛らしすぎるのが玉に瑕だ。

タイトなコクピットに乗り込む。ところどころにレザーを配して高級感を出そうとしているが、かえって見苦しい。マットシルバーのトリムもそう。こういうエキセントリックなクルマの演出は中途半端が一番イケナイと思う。シフトノブ内蔵のスターターボタンだって、使わなくともエンジンが掛かるのだから「?」だ。

走りは存外に楽しい。シフトフィールは他のスマート車と同様に気持ちいいとは言いがたいが、それを除けば、スポーツカーとしての完成度は非常に高い。身の丈の良さとそれを超えるパワー、安定感あるパフォーマンスなど、気軽にスポーツするにはもってこいだ。

とくにリアタイヤを信じ切って楽しむハンドリングのシャープさは痛快で、比べるものが現代のクルマには見当たらないほど。リアがブレークしたらと思うこともあるが、クルマが小さいことでそこまで速度を高めることに自制が効くはずだ。ちょっと面倒だがオープンにすれば一層に愉快。そういう意味でも「楽しめるスポーツカー」なのである。

意外だったのは、GT性能にも優れることだ。かなりの高速域でもスタビリティは高く、不安を感じない。オールマイティさも持っているわけだ。できればマニュアルミッションで乗りたいが、それを除けばこれほどホビーでファンなスポーツカーはない。しかも、普段乗りとしても使える。

スポーツカー好きとしては大いにそそられたが、値段を聞いて驚いた。税込み363万円だという。だとすれば、インテリアの中途半端さであるとか、不穏なギアチェンジフィールは何とかしてもらいたい。値段の高低だけの問題ではない。こういうタイプのクルマには、高級な大人のオモチャとして、基本性能以外の面でも、メリハリが効いてエキセントリックに大いに振った割り切りが必要なはずだ。(文:西川 淳/Motor Magazine 2005年9月号より)

スマート・ロードスタークーペ BRABUSエクスクルーシヴ(2005年)主要諸元

・全長×全幅×全高:3440×1615×1185mm
・ホイールベース:2360mm
・車両重量:870kg
・エンジン:直3SOHCターボ
・排気量:698cc
・最高出力:101ps/5600rpm
・最大トルク:130Nm/2500-5300rpm
・トランスミッション:6速AMT
・駆動方式:RR
・車両価格:363万円(2005年当時)

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最終更新:2019/12/1(日) 18:30
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