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角野卓造、居酒屋で人生を語る「最後は全部 “正解” と思いたい」

2019/12/1(日) 20:30配信

SmartFLASH

「正解」と簡単には言い難い苦い思い出もある。

「役者になって間もないころ、学生時代から7年間つき合っていた女性に振られました。『話がある』というので会ったら『子供ができた。貴方の子じゃない』と。『金色夜叉』じゃないけど、『来年の今月今夜のこの月を僕の涙で曇らせてやる』と思いました。今に見ていろと。

 でも、この経験は人生のバネになりましたね。もし、その人と一緒になっていたら、安定を求めて堅実な人生を送り、今の自分はなかったかもしれない。ということは、その彼女も僕の『恩人』なんですよ」

 そう達観できるようになったのは、最近のことだ。

「60歳を過ぎたころ、舞台の上で『虚血性脳貧血』になったんです。しかも3回。一瞬記憶が飛んでしまうのです。自分がどこを演じているのか、どの台詞を言わなきゃいけないのか、パーッと消えちゃう。

 医者は一過性だと言ってくれましたが、人に迷惑をかけたり、不安を抱えながら舞台をやるのは嫌だから、70歳で、舞台の活動はひと区切りつけることにしたんです」

 それでも、役者人生はまだまだ続いていく。

「本当は早く隠居したい気もありますが、まだ『角野を(起用したい)』と言ってくださる方々がいらっしゃるならば、お応えしたい気持ちもありますから。

 趣味もそうですが、好きなことに年齢は関係ありません。僕の部屋にはBDレコーダーが6台あって、映画、音楽番組、旅やグルメ番組と、ジャンルごとに録画しています。人生の残り時間が少ないから、全部見きれるわけがないんですが……(笑)。

 ほかにも本や雑誌、それにCDやレコードやレーザーディスクを合わせると1000枚近くあります。『断捨離』など考えたこともありません」

 この日の〆、「煮込み」がグツグツ煮えている。

「大将はフランス料理も修業しているから、ちょっとシチューのようなニュアンスがある。これが、ガーリックトーストにもよく合うんですよ。あー、これはやっぱりワインだな。……ほら、人生思いどおりにいかないでしょ(笑)。それでも、『万事正解』なんですよ」

◯かどのたくぞう

1948年、東京都生まれ 大阪市育ち 学習院大学経済学部を卒業後、文学座附属演劇研究所を経て、文学座座員となる。以降、舞台、テレビ、映画、吹き替えなどジャンルを問わず幅広く活躍。紫綬褒章受章(2008年)のほか、受賞歴多数。著書に『万事正解』(小学館)、『予約一名、角野卓造でございます。【京都編】』(京阪神エルマガジン社)がある

◯山利喜 新館

(住)東京都江東区森下1丁目14-6
(営)17:00?23:00(LO22:00)
(休)日曜、月曜、祝日

(週刊FLASH 2019年11月26日号)

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最終更新:2019/12/1(日) 20:30
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