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Jリーグは海外視聴者にとって観る価値のあるリーグか

12/1(日) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

 モナコ公国の最大都市モンテカルロに来ている。

 ここモナコでは、SPORTELという世界中のスポーツ団体・リーグ(ライツオーナー)、放送局・配信業者、周辺テクノロジー企業などが一堂に会する世界最大のコンベンションが毎年開催される。

 世界78カ国から約1000社、3000人の業界のプロフェッショナルが集うこのコンベンションに私も毎年参加しているが、その参加者の顔触れやここでのディスカッションを通して、グローバルでのスポーツビジネスの最新トレンドを感じることができる。

● 旧来の代理店型ビジネスは淘汰

 2~3年前までは多くの大手スポーツエージェンシー(代理店)が巨大なブースを出展し、数十人のスタッフが参加。夜には関係者やビジネスパートナーを招待するド派手なパーティーを連夜開催していた。2019年はそのような光景はもう見られず、多くのエージェンシーは出展社リストから姿を消し、参加者自体も大幅に減っている。

 その半面、新たな参加者として目立つのはOTT(Over The Top)やストリーミングサービスの周辺技術・関連サービスを提供するようなテクノロジー系企業だ。これまでのように、権利元(リーグやスポーツ団体等のライツオーナー)から放映権を預かり(買って)、放送局に対して売ることで手数料や差益を得るといった、旧来型の代理店ビジネスモデルが淘汰されつつある表れであろう。インターネット、SNS、OTTなどの技術進化・発展により、権利所有者は代理店に頼らずとも直接消費者にコンテンツを届けることが容易になったことが大きい。スポーツコンテンツは、放送局だけのものではなくなり、そのプラットフォームは多様化している。

● チームが直接販路を開拓

 もう1つ、今回気になったトレンドとして、NBAやスペインのラ・リーガ、ドイツのブンデスリーガなどのリーグ(放映権保有者)だけでなく、マンチェスター・ユナイテッドなどのクラブ(チーム)までもがブースを出展してPR・ネットワーク構築に励んでいた点である。コンテンツを消費者に直接届けることが技術的に容易になり、放映権を抱えるリーグだけでなく、選手という最大のアセットを抱えるクラブ(チーム)が積極的にその配信方法、プラットフォーム、マネタイズスキームなどを模索している。まだ日本ではそのような動きは多く見られないが、今後はリーグだけでなくチームが、チームだけでなく選手個人が、直接消費者、ファンに向けてコンテンツを届け、事業化していくモデルは広がっていくはずだ。

 今回、Jリーグは日本のスポーツ団体としては唯一ブースを出展し、世界にその存在をPRすることにした。今年は海外放映権契約(2017-2019)の最終年であり、来シーズン(2020)からの海外放映権につき合意したところで、放送局やプラットフォーマー各社とネットワークを構築し、協議を進めるにはちょうど良いタイミングであった。

 Jリーグは2020シーズンから3年間、中国の放映権をChina Sports Media(以下CSM)に、中国・日本を除く全世界の放映権を電通に販売することで合意した。この発表だけを見てもその契約の背景・狙いや詳細、Jリーグの現在地などは伝わらないと思い、中国だけCSMとの契約になっている理由など、詳細をできる限り書き記していく。

 日本のスポーツコンテンツが海外で稼ぐといった事例はいまだ皆無に近い。しかし、人口減少・経済停滞が予想される日本では、スポーツ権利ホルダーが海外で稼ぐ、つまり権利・コンテンツの海外輸出・販売を行うことは必至になる。

● 権利買い切り契約の弊害

 Jリーグは2019シーズンまでの海外放映権をフランスに本社を置くLagardere Sports社(以下ラガデール)に独占的に販売してきた。正確に言うとJリーグが開催する公式大会のうち、明治安田生命J1リーグ、J2リーグ、JリーグYBCルヴァンカップ、FUJI XEROX SUPER CUPの日本国外における放映権及びサブライセンス(二次販売)権を独占的に販売している。

 つまり代理店であるラガデールに全ての権利(J3リーグ以外)を提供し、その先の各国放送局・配信社への販売はラガデールに全て任せているという体制である。専門用語で言うBuy out(買い切り)という契約形態だ。代理店からある程度まとまった金額を権料として受け取る半面、その先の放送局にどんな条件で販売(サブライセンス)するかは一切口出しができない。

 この旧契約では2つの課題を抱えていた。1つ目は、海外でのJリーグ露出を増やしたくても自らそのコントロールができないこと。また2つ目は、海外におけるJリーグの価値を正確に把握することができていなかったこと。海外においてJリーグはまだまだ無名で、露出を増やして価値を増大させていかなくてはならないフェーズにある。この2つの課題は新規契約(2020シーズン以降)において改善すべき優先事項となっていた。

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最終更新:12/1(日) 6:01
ダイヤモンド・オンライン

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