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買いより売りが難しい 資産運用の「出口戦略」とは?

2019/12/2(月) 7:47配信

NIKKEI STYLE

投資は「買いよりも売りの方が難しい」といわれることがある。子どもの教育や自分の老後に備えて投資信託などを買い続けてきたものの、資産の売却についてはタイミングや方法がよくわからないという人は多い。人生の節目に向けて資産はいかに取り崩すべきなのか。資産運用の出口戦略を探ってみた。
投信などの資産の売却時期として理想的なのはもちろん相場が高値を付けたときだ。しかし相場は日々上下し、高値を見極めるのは難しい。もっと上昇するはずと期待して待っている間に反落することもある。リーマン・ショックのような危機が起きて長引けば、売り時を逸しかねない。
そこで考えたいのが売却の「時間分散」だ。突然お金が必要になる場合は別だが、子どもの大学入学や住宅購入の頭金など、お金を使う時期を予想できる人生の節目はある。それに向けて複数回に分けて資産を売却することで安値売りのリスクを抑える戦略だ。
イデア・ファンド・コンサルティングの吉井崇裕社長は「半年に1度か1年に1度の頻度で、5年くらい前から売却を始めるのがよい」と助言する。

■5年かけると…

図Aは株式相場に連動するインデックス投信の価格と、分散売却のイメージを示す。2014年末から毎年、年末に同じ口数を売却したと想定している。相場が安いときに売却した年もあるが、高いときに売った年もあり、5年間をならして考えると相場変動の影響を平準化できる。

もしも一度に全資産を売却しようとすると、時期によっては手元に残るお金が大きく目減りしていた可能性がある。吉井氏は「相場予想は難しいという前提で取り崩しを実行すべきだ」と話す。
この例では毎回同じ口数の「定量売却」で利益を確定した。投信を10万口保有する場合、5年かけて毎年2万口ずつ売却するといった具合だ。1回当たりの売却額は相場変動により変わるが、資産を売り切る期間をあらかじめ確定したいときに便利な方法だ。

分散売却には他にも方法があるので使い分けたい(表B)。「定額売却」は毎回、同じ金額が手元に入る点がわかりやすいが、相場変動によって売り切りまでの期間は伸び縮みする。「定率売却」は、資産残高の一定割合ずつを取り崩していく方法。相場が悪くて残高が目減りしたときには引き出し額は少なくなるものの、売り切りまでの時間はその分延びやすい。

分散売却の考え方はリタイア後の生活設計にも生かせる。フィンウェル研究所の野尻哲史所長は「60歳以降の期間を前半と後半に分けて取り崩し方を考えたい」と提案する。そのイメージを図Cに示した。

前半の60~74歳は「資産を取り崩しながら運用を続ける時代」だ。例えば毎年4%ずつ定率で引き出し、年率3%で運用する。まだ挽回のきくこの時期は、適度な運用リスクを取って収益を上乗せしつつ、定率で引き出すことにより資産寿命を延ばす。後半の75歳以降は「使う時代」。相場変動の影響を受けないよう運用はやめ、生活費に充てる分を定額で引き出す。

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最終更新:2019/12/2(月) 7:47
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