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「打撃天国」が足枷になって9回連続落選…ウォーカーはラストチャンスで殿堂入りなるか?

2019/12/2(月) 18:34配信

THE DIGEST

 全米野球記者協会の記者が選ぶ2020年の殿堂入り候補には、32人が挙がっている(結果は来年1月に発表される)。殿堂入りには75%以上の得票率が必要だが、75%未満でも5%以上であれば、翌年も再び投票にかかる。だが、候補にとどまることができるのは10度まで。ラリー・ウォーカーにとっては、今回が記者選出のラストチャンスとなる。

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 前回は、エドガー・マルティネスが10度目の投票で85.4%の票を得て殿堂にたどり着いた。下表を見ても分かるように、ウォーカーの成績はマルティネスに勝るとも劣らない。

●マルティネス
試合   2055
打率  .312
出塁率 .418
OPS  .933
本塁打 309
盗塁  49

●ウォーカー
試合  1988
打率  .313
出塁率 .400
OPS  .965
本塁打 383
盗塁  230

 ちなみに打撃タイトルの獲得は、マルティネスが首位打者2度と打点王1度、ウォーカーは首位打者3度と本塁打王1度。ウォーカーは1997年にMVPも受賞している。また、マルティネスはDH出場が多かったが、ウォーカーはライトを守ってゴールドグラブを7度受賞した。総合的な貢献度を示すWAR(baseball-reference版)では、マルティネスの68.4に対してウォーカーは72.7と上回る。

 にもかかわらず、投票では9度ともウォーカーとマルティネスの得票率は10%以上の開きがあり、直近の3度は30%以上の差がついた。これは、本拠地の球場が影響している。ウォーカーは“打者天国”のクアーズ・フィールドを本拠とするロッキーズで9年半プレーし、タイトルとMVPはすべてこの時期に手にした。

 ウォーカー自身も昨年1月にラジオ番組で、票が伸びない理由について「クアーズ・フィールドは僕にとってPED(パフォーマンス向上薬)のようなもの」と語っている。ちなみに、クアーズ・フィールドでは打率.381/出塁率.462/OPS1.172、それ以外の球場は打率.281/出塁率.372/OPS.873で、確かに劇的に違う。

 投票する記者の心情もあるのか、一般的にラストチャンスの投票では票が増える。マルティネスの場合、10度目の得票率は9度目の70.4%から15.0%上昇した。ウォーカーは前回が得票率54.6%だったので、殿堂入りの75%に達するには20.4%のアップが必要だ。過去5度の得票率はいずれも上がっていて、上昇幅も1.6%→3.7%→6.4%→12.2%→20.5%と年々大きくなっている。今回もこの傾向のままなら殿堂入りだが、2度続けて20%以上もアップするかどうかには疑問が残る。

 ウォーカーが記者投票で殿堂入りできないとなると(その場合も、後にトゥデイズ・ゲーム委員会に選出される可能性はあるが)、同様にトッド・ヘルトンも難しいかもしれない。17年間に記録した打率.316、出塁率.414、OPS.953、369本塁打は、ウォーカーとほぼ同水準ながら、ヘルトンはロッキーズ一筋にプレーした。クアーズ・フィールドでは打率.345、出塁率.441、OPS1.048だが、他では打率.287、出塁率.386、OPS.855だ。また、ゴールドグラブは3度受賞したが、一塁手はより打撃が重視される。盗塁も37と少ない。ヘルトンが投票にかかるのは、今回が2度目。前回の得票率16.5%は、ウォーカーの1度目よりも3.8%低かった。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹

最終更新:2019/12/2(月) 18:34
THE DIGEST

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