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親70代が「生前整理」の好機。手遅れになる前に…

2019/12/2(月) 10:26配信

日経ARIA

離れて暮らす両親。まだまだ元気とはいえ、70代にもなれば、自分の周りを身ぎれいにする「生前整理」を始めてもいい年齢です。しかし、そんな話題を持ち出そうものなら「まだ早い」「縁起でもない」と一蹴されるのが落ち。もめずに、楽しく始めるこつを教えます。葬儀・お墓・介護など終活を取材してきた旦木瑞穂さんがリポートします。

●「そのとき」は、突然やってくる

 盆暮れ正月の里帰り。たまの実家で、両親と生前整理の話をしようにも、はぐらかされて、なかなか具体的な話にはなりにくいもの。しかし、「そのとき」は突然やってくる。残された家族は気持ちの整理がつかず、冷静な判断ができなかったり、家族間で意見の違いからもめてトラブルになったりするケースも珍しくない。

 そこで、この連載では、今から始める生前整理の進め方を3回に分けて紹介したい。家族全員が納得のうえ、始めるのがポイントだ。

 生前整理の基本は「物、心、情報」の整理。不要なものを処分する物理的な「物の整理」、あらかじめ本人と家族で話し合っておく「心の整理」、そして複数の葬儀業者から見積もりを取っておくなどといった「情報の整理」だ。これらを押さえておけば、いざという事態が起きても慌てることなく、落ち着いて対応できる。

 中でも、一番手間がかかるのは物の整理。実際に親の葬儀後に困ったことを聞いたアンケートでは、「身の回りのものの処理」を挙げた人が圧倒的に多かった。遺品整理会社に依頼することも可能だが、2DKで15万円(税別)から作業費がかかる(遺品整理・生前整理会社、リリーフの場合)。親の家の片付けは「親家片(おやかた)」などと呼ばれ、子どもにとって精神的、体力的、そして金銭的に大きな負担になっているのが実情だ。

生前整理は「遺品整理」より、いいことずくめ

 親が元気なうちに行う生前整理は、亡くなった後の「遺品整理」と比べるとメリットが多い。最大の利点は、親の家がすっきり片付いて住みやすくなること。高齢者は一般的に持ち物が多いため、部屋が見違える。

 「生前整理の窓口」サービスを運営しているプロバイドの社長、三浦靖広さんは「生前整理は単なる家の片付けではなく、心の余裕を生むための活動」だと話す。特に、生前整理を親子でできれば、親が若かった頃の話や、現在の不安、自分の死後にどうしてほしいかなどを聞き出す、かけがえのない時間になる。

 また、三浦さんは「過去を振り返り、これからの人生をより良く生きるきっかけになる」とも言う。親が自分の手で整理することで、写真や手紙などの思い出の品が見つかり、懐かしい友人に連絡を取ってみたり、若い頃挑戦したかったことを思い出したり、生きているうちにやっておきたいことに気付けるというわけだ。心身ともに元気な70代のうちに始めるといい。

 とはいえ、生前整理を始めるきっかけや、進める手順をどうすればいいのか分からない、という人がほとんどだろう。そこで三浦さんは「生前整理診断士」に依頼することを勧める。片付け、介護、葬儀、相続などに関する悩みを、物・心・情報の観点から総合的にアドバイスを受けられる。

 実際に生前整理で、家族の絆を深めたAさん(46歳、女性)の事例を紹介しよう。

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最終更新:2019/12/2(月) 10:26
日経ARIA

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