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規模が先にありきの経済対策となっていないか

2019/12/3(火) 13:14配信

NRI研究員の時事解説

大規模経済対策が必要な経済情勢か

12月5日にも政府は、経済対策を閣議決定する見込みだ。各種報道によれば、財政投融資も含めた財政措置額は13兆円程度となる。これは、2016年8月に実施された前回経済対策の13.5兆円に匹敵する規模だ。さらに、民間企業の支出なども含めた総事業費は25兆円台に達するなど、極めて大規模な経済対策となる模様だ。

より詳細な内訳を見ると、中央・地方政府が直接支出する国費は総額7兆円台半ば程度、このうち一般会計については4兆円台前半を2019年度補正予算に、1兆円台後半を2020年度当初予算にそれぞれ計上し、合計で6兆円程度の規模とする。さらに特別会計は、計1兆円台半ばが計上される。他方、公共事業に伴う地方自治体の負担分は1兆円台後半となる見通しだ。また、政府が高速道路や空港整備などの各種事業に融資する財政投融資として、3兆円台後半の規模が対策に盛り込まれる見通しだ。

経済対策には、「アベノミクスのエンジンを再点火」との表現が、その狙いとして示される見通しである。アベノミクスの総仕上げの現段階で、経済政策は財政拡張策、つまり「第2の矢」に行き着いた感がある。その背景には、金融緩和策が期待した効果を発揮できなかったことや、政府が実効性のある構造改革を打ち出すことができなかったことがあるだろう。

しかし、国内経済がなお安定を維持し、世界経済にはむしろ持ち直しの兆しが見られ始めたこの局面で、なぜこうした大規模な経済対策が必要であるのかは大いに疑問である。この点を政府はしっかりと国民に説明する必要があるだろう。

財政健全化の議論は封じ込められた感も

今回の経済対策は、「規模が先にありき」感が強いことが、大きな問題なのではないか。経済対策の議論が政府、与党内で始まった際に、二階俊博幹事長は「10兆円を下らない程度が必要」と強調していた。また、世耕弘成参院幹事長も10兆円規模に言及し、会見では「アベノミクスの総仕上げ」と述べたのである。

台風15、19号などの災害復旧、防災対策が、今回の経済対策の大きな柱である。これは確かに必要な支出項目ではあるものの、その具体的な内容は、もっと時間をかけてしっかりと精査されなければならないのではないか。国と地方公共団体、そして住民が議論を重ねたうえで、最適な防災対策を決めるべきだろう。東日本大震災後には、住民が十分に納得していない巨大堤防の整備などが進められてしまった。そうした失敗が再び繰り返されないだろうか。

他方、与党内からは、財政規律に配慮して経済対策の規模を抑制するような議論は聞こえてこない。これまで財政規律を重視する発言をしてきた岸田文雄政調会長も、「財政の制約でタイミングを逸してはならない」と大規模な財政出動を求めており、財政規律重視の議論は封じ込まれている。

このような点から、巨額の経済対策の実施は、消費税率引き上げ決定時からの既定路線であったのではないか、との印象も拭えない。政府は、消費税率引き上げを通じて財政健全化路線を歩んでいることをアピールする一方、それが経済を悪化させる場合には失策との批判を国民から浴びるリスクに配慮して、消費税率引き上げによる景気抑制効果と財政健全化効果を大きく凌駕する規模の経済対策を、消費税率引き上げとほぼ同時に、いわば合わせ技で実施するのである。

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最終更新:2019/12/3(火) 13:14
NRI研究員の時事解説

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