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【2019総括・楽天】Wエース離脱もブルペン陣の奮闘で5年ぶりのCS。真価を問われる石井GMの「中・長期的なチーム作り」

2019/12/3(火) 14:35配信

THE DIGEST

●収穫と誤算

 開幕直前に則本昂大が右ヒジを手術し、開幕戦で岸孝之が左太腿裏を負傷。Wエースを欠いた楽天はBクラス候補と論じられていた。

 その予想を覆したのが救援陣の奮闘だった。今季セーブ王となった守護神の松井裕樹を筆頭に、宋家豪、ハーマン、ブセニッツの外国人トリオと森原康平で形成された「勝利の方程式」が機能。「3連投はさせない」などの綿密なブルペンワークによって、故障者を出さずフル稼働した。

 打線では、西武からFA加入した浅村栄斗、新外国人ブラッシュの「30発コンビ」が軸として固定されたことで厚みが出た。その2人に加えて銀次、島内宏明、茂木栄五郎も.350を超える出塁率を記録したことで、大技・小技と攻撃のバリエーションが増えた。前半戦で12球団トップの21度の逆転勝ちを収めたように、粘り強い戦いがCS進出へとつながったと言える。

 惜しむらくは、チームを2年ぶりのCSへと導いた平石洋介監督の解任だ。球団創設から選手、指導者として楽天を支え続けた“生え抜き”は、熱のある言葉と求心力でチームを統率してきた。

 ウォーミングアップから意識を集中させ、試合では「ミスを恐れず腹をくくって戦え」と鼓舞した指揮官の交代劇は、大きな波紋を呼んだ。石井一久GMは二軍監督の三木肇を一軍監督に昇格させ、コーチ陣も大幅にテコ入れした。

「中長期的なチーム作り」

 来季、その真価が問われる。

●2019年を象徴する試合
9月21日/楽天6-1西武/楽天生命パーク
西 |000 000 100|1
楽 |000 000 060|6
[勝]森原康平(4-2-0)
[敗]平井克典(5-4-0)
[本]楽:藤田一也(2)

 ベテランの恩返し弾から、鮮やかな逆転勝利を飾った。
 
 0対1の8回、先頭の代打・藤田一也が、西武が誇る難攻不落のセットアップ・平井克典から同点本塁打。この一発から一挙6点を奪う猛攻で試合を制し、4位ロッテとのゲーム差を1.5に広げた。

 CS進出を大きく手繰り寄せる殊勲打を放った藤田は、「大事な試合で出してくれる監督の期待に何とか応えたかった」と、指揮官の思いに報いた。春季キャンプから「男前の監督を男にしたい」と燃えるベテランに、平石監督も「私情を挟んではダメだろうけど、今年の一也は本当に苦労した。ホームランが滅多に出ない選手が打ってくれて感動した」。

 8月の二軍落ちから這い上がってきた男を称えていた。

●来季のキーマン
三木肇監督

 現役時代、ヤクルトを3度の日本一に導いた名将・野村克也の薫陶を受けた。

 コーチとしても、日本ハムで西川遥輝や中島卓也ら現在の主力たちを鍛え、ヤクルトでは山田哲人の守備・走塁の向上を促した。そして、今季は楽天の二軍監督となり、球団初のイースタン・リーグ優勝を成し遂げた。石井GMは「困難を乗り越えてくれる監督」と、全幅の信頼を寄せている。指導者としての段階を踏み、晴れて一軍監督となった。

 走塁でのリード幅や守備でのポジショニングなど、スコアブックに乗らない要素にも注視し、凡打の内容にもこだわる戦略家。「バッテリーを中心とした守りの野球」を基軸とした多彩な野球を実現させ、7年ぶりのリーグ制覇を誓う。

文●田口元義

【著者プロフィール】
たぐち・げんき/1977年生まれ。野球を中心に雑誌やウェブサイトに寄稿。2019年2月に「負けてみろ。 聖光学院と斎藤智也の高校野球」(秀和システム刊)を上梓した

最終更新:2019/12/3(火) 14:35
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