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「40歳結婚→出産」の共働き夫婦を襲うリスク

12/3(火) 15:15配信

プレジデントオンライン

老後資金のやりくりは、予想どおりにはいかないもの。本人もしくは配偶者が定年を迎えたシニア読者に、「わが身を襲ったお金に関する想定外」を尋ねたところ、5つのリスクが明らかになった。その全対策を名うてのFP・中嶋よしふみ氏が提案する。

【図表】大卒の退職金はこの20年で約900万円減

■退職金は20年間で30%以上も激減

 「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯では、老後資金として約2000万円を用意する必要がある」という金融庁の試算が発端となり、大騒動を巻き起こした老後資金2000万円不足問題。ライフプランは人それぞれで、老後に必要な資金は一律に語れるものではない。にもかかわらず政府が具体的な金額を出したことに疑問はある。ただ同時に「そこまで大きな問題にするほどか」と違和感を覚えたのも事実だ。多くの人が反発した気持ちはわかる。しかし、年金だけで生活できないことはわかっていたはず。

 私はファイナンシャルプランナー(FP)としてお金に関する相談を数多く受けている。老後資金に関してこのところ実感しているのは、晩婚化が大きなリスクになっていることだ。破たんしそうな家計といえば、「無駄遣いが多い」あるいは「高額な家を買ってしまった」など、お金の使い方に問題があるケースを思い描くだろう。しかし、それよりも深刻なのは、結婚が遅く、高齢になってから子どもが生まれるケースだ。不妊治療のため、子どもを持つのがさらに遅くなるケースもある。

 たとえば40歳で結婚して、子どもが生まれたとすれば、その子が大学進学するころに親は60歳を超える。65歳定年が一般化したとしても定年前後だ。たとえ年収が低くても、働いていれば何とか乗り切ることができる。しかし、給与収入がなくなってから教育費を負担するのは至難の業だ。

 定年後の頼りは国民年金、厚生年金などの公的年金や企業年金だが、日本の年金が将来どうなるかは誰にもわからない。明らかなのは増えることはないということだ。横ばいか、少し減るか、たくさん減るかのいずれかだ。今回の老後資金2000万円不足問題は「足りない分は自分で何とかしてください」という政府からのメッセージでもある。これをしっかり受け止めて、準備を始める必要がある。

 企業年金にしても確定給付型から確定拠出型に移行している。これは「掛け金は出すけど、あとは自分の責任で増やしてほしい」との会社からのメッセージにほかならない。

 退職金もあまり期待できそうにない。厚生労働省の「就労条件総合調査」(2018年)によると、勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者に対して17年に支給した退職金の額は平均1983万円(大学・大学院卒)だった。一方で1997年の支給額は平均2868万円(同)。20年間で退職金は30%以上減額されている(図1)。

 退職金の額の減少を会社の規模別に考えると、中小企業はもともとが手厚くなかった分、それほど大きな影響はないと思われる。逆に大企業で働いている人は、これまで優遇されていただけに、大きな環境変化にさらされていることを意識しなければならない。「住宅ローンが残っていても退職金で返済すればいい」という考えは通用しなくなっている。

 ではどうすればいいか。年金や退職金を受け取っても不足する老後資金を賄う方法には、大きく分けて(1)貯蓄する、(2)退職金を活用する、(3)働くの3つがある。これらを上手に組み合わせるのが賢明だ

 ▼5大リスク(1)住宅ローン

■共働きで借入額増のやむをえない理由

 3つの方法のうち「退職金を活用する」と密接な関係があるのが住宅ローンの返済だ。住宅ローンを35年で組めば、定年時点で完済できないケースが多くなる。

 そこで退職金で住宅ローンを一括返済しようと考える人もいるだろう。新生活を迎えるにあたり完済して身軽になりたいかもしれないが、必ずしも賢い選択とはいえない。1度返済に充てた資金は2度と取り戻せないからだ。

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最終更新:12/3(火) 19:05
プレジデントオンライン

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