ここから本文です

「1日200個集荷」佐川急便で2児の母が働く理由

12/3(火) 9:15配信

プレジデントオンライン

佐川急便のドライバー3万人のうち、1割は女性だ。女性たちはなぜ重労働にも思える宅配の仕事を選んだのか。ノンフィクション作家の野地秩嘉氏が、「入社4年目で、子どもが2人いる」という女性ドライバーに本音を聞いた――。

【写真】佐川急便の千葉中央営業所

■3万人のドライバーを抱える佐川急便

 物流事業大手、佐川急便(以下、佐川)を傘下に置く純粋持株会社SGホールディングスの連結売上高は1兆1180億円。貨物の取扱個数は約13億個。保有車両は軽自動車も含んで2万6671台(2019年3月期)。従業員は約5万5000人で、うちドライバーは約3万人。宅配便の取り扱いではヤマト運輸(以下、ヤマト)に次いで業界第2位のシェアを誇る。

 町を歩いていたら、青と白のストライプシャツを着た佐川のセールスドライバーが配達している姿をよく見かける。佐川やヤマトの宅配ドライバーを見かけることなく、1日が過ぎていくことはまずない。

 “普通の人々”にとって宅配ドライバーは、コンビニエンスストアの店員と並んで毎日のように顔を合わせる身近な存在だ。ただし、彼らが現場でどういった仕事をしているのか、また、どういった現場の言葉を大切にしているかはあまり知られていない。彼らは仕事で何を大切にしているのだろうか。

■「ダイエットのため」に働く2児の母

 山本絵理子は同社千葉中央営業所の営業課主任。入社4年目で、子どもが2人いる“ママドライバー”だ。全国の佐川のドライバー3万人のうち、1割は女性だ。そして、女性ドライバーの数は着実に増えている。

 佐川には営業所が全国に428カ所ある。千葉中央営業所の従業員数は100名なので、同社では、中規模よりもやや大きい営業所と言える。最寄り駅はJR京葉線・千葉都市モノレールの千葉みなと駅だ。彼女たちが配送している先は、工場地帯と千葉駅周辺の商業地区である。個人宅はごく少なく、事務所、ショッピングビルのテナント、駅周辺の商店街、飲食街が主な顧客だ。なお、佐川はヤマト、日本郵便と比べると商業貨物、つまりBtoBが多い。個人向けは3割程度となっている。

 では、山本はどうして佐川を勤め先として選んだのか。

 山本は「ダイエットのためです」ときっぱり言った。入社のきっかけは、お金のためではなく、健康のためだった。

 「出産前は医療事務として働いていました。でも、出産後って太るでしょう。痩せなきゃいけないと思って仕事を探していたところ、佐川では朝だけできる仕事があると聞いたのです。毎朝3時間だけ2年間、営業所で荷物の仕分けの仕事をしました。その後、会社から声をかけられ、トラックを運転して荷物の集配を行う“セールスドライバー”に転身しました。おかげさまで体重は5kg落ちました。今は少し戻りましたけれど」

■8時出社で、6時前には仕事が終わる

 彼女はただ痩せたのではない。筋肉もついた。健康的にダイエットに成功した。スポーツジムに行くよりも、宅配ドライバーになるほうが効果があるのではないかと思わされる。

 それもそのはず、彼女は1日に平均、数百個の荷物を配達し、200個の荷物を集荷する。それでも朝は8時に出社し、午後6時前には仕事は終わる。繁忙期の年末になると、配達数、集荷数ともに1.5倍から2倍に増えるというが、その時期を除けば残業はほとんどない。

「出社すると、まず仕分けをします。ルートを考えながら荷捌(さば)き場にある荷物を自分のトラックに積み込んでいく。積み方ひとつで配達時間が変わってきますから、積み込みをきっちりやるのが重要です。全体の量にもよるのですが、積み込みに1時間はかかります。 積み込みのセオリーは、後半に回る荷物をトラックの奥に入れて、最初に回る荷物を手前に積む。飲食店への配達もあるので、冷蔵・冷凍便は冷蔵庫・冷凍庫に入れます」

1/4ページ

最終更新:12/3(火) 13:45
プレジデントオンライン

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事