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忘年会帰りに死ぬ人がいる…法医解剖医がどうしても伝えたいこと

12/3(火) 6:01配信

現代ビジネス

用水路で亡くなった人

 毎年12月のこの時期になると、解剖室へ運ばれてくる人たちがいる。忘年会の帰りに亡くなった人たちだ。

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 この日運ばれてきたのは、50代の男性。用水路の中で亡くなっていた。顔や手には擦りむいた傷があった。用水路に落ちたときにできたのだろう。その他には目立った傷はない。

 胸腔を見ると、肺がひどく膨らんでいる。それだけではない。肺の表面は空気だらけになっている。肺の表面を指で押すと、プクプクと凹む。

 こうした肺は、「溺死肺」と呼ばれている。溺死した遺体に見られる典型的な所見である。

 溺死するときには、鼻や口から水などの溺水が気管を通って肺に入り込んでくる。肺の中は、さぞかし水だらけになっているだろうと思われるかもしれない。

 だがそうではない。

 実際には、肺の表面は、空気だらけになっている。元々、肺の中には空気が入っている。その空気は流れ込んできた溺水の勢いによって、肺の奥の方へと押し込まれていく。空気が最後にたどり着く場所は肺の表面になる。肺の表面が空気でいっぱいになるのには、そうしたわけがある。

溺死したわけ

 男性の死因は、溺死だとわかった。

 用水路に倒れていたのだから、男性が溺死したとしてもおかしくない。だが、この男性の死の状況には、不自然なことがあった。

 男性が発見された用水路の水深は、せいぜい10センチメートルだったのだ。そんな浅いところに倒れ込んだからといって、普通であれば、溺死するようなことはない。立ち上がってしまえばすむことだ。だが、この男性は、確かに、水深10センチメートルの用水路で溺死したのである。

 警察からの話では、男性は、忘年会でお酒を飲んでいい気分になって歩いていた。何かの拍子に、道路脇の用水路に転落したらしい。倒れ込んだ場所で立ち上がることができずに、男性は溺死してしまったというわけだ。

 用水路に倒れ込んだとき、酔っていた男性は自分がどこで、何をしているのか、さっぱりわからなかったに違いない。

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最終更新:12/3(火) 17:16
現代ビジネス

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