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忘年会帰りに死ぬ人がいる…法医解剖医がどうしても伝えたいこと

12/3(火) 6:01配信

現代ビジネス

車に轢かれて亡くなった人

 道路で車にひかれた50代の男性が運ばれてきた。男性を轢いた車は見つかっていない。ひき逃げ事件だという。

 交通事故で亡くなった人を解剖するとき、法医解剖医が注目する場所がある。それは亡くなった人の足である。そこにあるべき印を確認するのである。

 それは、「バンパー創」と呼ばれるものだ。歩行者が車に衝突されたときには、車の先頭にあるバンパーが必ず体にぶつかる。車が普通乗用車であれば、バンパー創は、膝のあたりにできる。

 男性の膝のあたりをよく見たのだが、何も傷はできていない。その代わりに、見つかったのはタイヤの痕だ。胸のあたりにはタイヤの溝の形が残っていて、皮膚を押してみると、肋骨が何本も折れているのがわかった。車は男性の胸のあたりを轢いたらしい。

バンパー創がないことの意味

 それにしても、バンパー創がないということはどういうことを意味しているのだろうか。

 もし男性が立っていれば、バンパー創は体のどこかにできているはずだ。それがないということは、男性が車と衝突するときに、立っていなかったということだ。立っていれば、必ず、バンパーが体に衝突する。だが、寝ていれば、バンパーは体のどこにも衝突しない。当たり前の話である。

 男性の死因は、肋骨多発骨折による失血死だった。

 警察から聞いた情報と解剖所見から考えてみると、男性の死の状況は次のようになる。忘年会の帰りに、男性は一人で帰宅したのだが、片側二車線ある道路で寝込んでしまったらしい。そこを通りがかった車に轢かれたということになる。

 理由はわからないのだが、お酒を飲むと、道路で寝たくなる人がいるらしい。この男性は、忘年会の帰りに道路に寝込んだところを車に轢かれてしまった。

 もちろん一番悪いのは、男性を轢いた車の運転者である。そのまま現場を立ち去れば、ひき逃げ事件の犯人になる。だが、運転者にしても、片側2車線もある広い道路に人が寝ていると予想することは難しかったかもしれない。

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最終更新:12/3(火) 17:16
現代ビジネス

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