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忘年会帰りに死ぬ人がいる…法医解剖医がどうしても伝えたいこと

12/3(火) 6:01配信

現代ビジネス

死体検案書を見てもわからないこと

 解剖した後には、死体検案書を作成する。この書類の死亡原因を記入するところには、「お酒」「アルコール」「飲酒」などの言葉が記されることはない。

 「溺死」や「凍死」、「頭蓋内出血」、「胸部轢過」といった言葉が並ぶだけだ。死体検案書を見ても、お酒が死因に関係しているとは気づかない。だが、実際には、お酒を飲んだ後に亡くなった人たちは、お酒を飲んでいなければ亡くなることはなかった。その意味では、お酒が死因に関係していることは明らかなのである。

 お酒で亡くなる人は、一般の人が考えているよりはるかに多い。急性アルコール中毒で亡くなる人の数よりずっと多くの人がお酒のせいで亡くなっている。法医解剖医には、それがわかっている。

これから忘年会へ行く人に言いたいこと

 お酒を飲んだ後に亡くなった人の死の状況を知ると、不謹慎だとはわかっていても、滑稽に感じてしまうことがある。最初に書いた男性のように、水深10センチメートルの用水路で溺死するなどは、お酒を飲んだ人にしかできない芸当だろう。

 電車に乗っていると、酔っ払った人が電車に乗り込んできた。ふらふらと入ってきて手すりをつかんだ。やっとのことで立っているという状態だ。周りの人は困惑している。その人の前に座っていた人が席を立ち上がると、やっとのことでその席に座った。だが、自分の体勢を保つことができず、ずり落ちるように席に横になってしまった。そのまま動かない。

 さて、この人は家まで無事にたどりつくことができるだろうか。明日、解剖室へ運ばれることにならないだろうかと心配になる。

 酔っ払ってしまってからでは、遅い。注意するのは、お酒を飲む前でなければならない。

西尾 元

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最終更新:12/3(火) 17:16
現代ビジネス

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