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プロ経営者・原田泳幸氏は、マクドナルドで結局「何をしたのか」

12/3(火) 7:01配信

現代ビジネス

4つの改革

 彼が行った改革は大きく分けて4つあった。今後の流れをわかりやすくするために番号をふっておく。

 (1)店舗業務を全国で標準化し、サービス力を向上、共通のマーケティング戦略で売り上げを拡大
(2)サプライヤー(食材などの購入先)の変更による効率化
(3)人員削減によるコストカット
(4)FC集約による財務体質の改善

 (1)の店舗業務標準化から順に見ていこう。

 原田がまずもって重視したのは、それまで各店舗に裁量が任されていた業務を全国で一律に標準化し、サービス水準を向上させることだった。

 「マクドナルドで圧倒的に強いのは店舗だ。そしてそれを支えるのがQSCだ」(元執行役員)

 QSCとは、Quality(品質)、Service(サービス)、そしてCleanliness(清潔さ)を指す。顧客に嫌な思いをさせず、再来店させる。そのために、店舗を徹底的に清潔にし、従業員には笑顔での接客やスピーディな商品提供を徹底的にたたき込んできた。そのサービス水準の高さゆえにマクドナルドは大きく成長できたのだ。

 原田は、1990年代後半の店舗拡大によって崩れたQSCを強化しようと考え米国のマクドナルドで開発された「ROIP」を導入した。ROIPは1冊の分厚い本にまとめられた、いわばサービス改善の指針だ。各店舗で調理や在庫管理をどういう手順で改善すればいいのか、全世界のマクドナルドで蓄積されたノウハウのすべてがそこに詰まっている。

 その他にも、それまでは本社、各地区本部からバラバラに発信されていたマーケティングキャンペーンなどの運営方針を、各店舗にわかりやすく伝達する「NABIT」、できたての商品を提供するための「メイド・フォー・ユー」などといったシステムを次々に導入した。いずれも米国で開発されたものだ。

 原田はさらなるサービスの標準化を目指すべく、より抜本的な方針転換も行った。各店舗の裁量を縮小したのである。

 マクドナルドのマーケティングは、店舗ごとに行う「ローカルストアマーケティング」と、本社が主導する「ナショナルマーケティング」の2種類が存在する。原田改革以前は、各店舗の店長の裁量度が高く、「近所への宅配から日用品の配布キャンペーンまで、かなり自由だった」(元店長)という。

 だが、原田はローカルストアマーケティングを縮小し、本社の企画を強化した。たとえば、店頭でのクーポン券の配布を減らし、本社主導で携帯電話を使った「かざすクーポン」へとシフトさせた。

 こうして本社が“中央集権”を強め、サービスの標準化を図った結果、原田体制がスタートした2004年、既存店売上高は8年ぶりにプラスへ転じたのだった。

 続いて原田は、得意のマーケティング戦略を立て続けに展開していく。「客数×客単価」の公式に従い、客数を伸ばそうと、2005年には24時間営業店を拡大し、ワンコイン商品「100円マック」を導入。2008年には「プレミアムローストコーヒー」を全国で展開した。それぞれが功を奏し、客数は一気に伸びた。

 公式に従えば、増えた客にはおカネを落としてもらわなければならない。同時に原田が考えたのは、客単価の引き上げだった。

 日本独自の「えびフィレオ」(2005年)、米国を参考にした「メガマック」(2007年)、「クォーターパウンダー」(同年)など、価格の高い商品を期間限定で売り込んだ。さらに2007年以降は、家賃や物価が高い地域では商品の価格を引き上げる「地域別価格制」を導入するなどして客単価を引き上げ、売り上げを伸ばした。公式どおりの展開である。

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最終更新:12/6(金) 14:46
現代ビジネス

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