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アニメ映画『プロメア』12億円突破 仕掛け人が語るヒットの裏側

2019/12/3(火) 6:00配信

日経クロストレンド

 劇場版アニメ作品『プロメア』が絶好調だ。知名度で不利なオリジナル作品にもかかわらず、興行収入は12.1億円を突破した(2019年9月下旬時点)。ヒットの秘密は世界的なアニメ会社とネットにたけたIT企業のタッグだ。同作を生み出したトリガー(TRIGGER)の大塚雅彦社長、製作したミクシィの鵜飼恵輔氏に話を聞いた。

【関連画像】『プロメア』のダイナミックなアクションシーンは今石監督作品ならではだ

 『プロメア』は、ポップなカラーとド派手なアクション、熱いせりふの数々で見せる劇場版アニメ作品。19年5月の公開以来、全国各地でロングランを重ね、興行収入は12.1億円、観客動員数は82万人を突破した(19年9月下旬時点)。Twitterや映画レビューサイトなどの投稿を見ると、複数回観賞したというリピーターも少なくない。その勢いは止まらず、10月には4D版(4DX、およびMX4D)の上映を開始。世界62の国と地域で配給契約を締結した。

 作品を見れば、話題になる要素は豊富だ。アニメーション制作は、『キルラキル』『リトルウィッチアカデミア』といった人気作品で世界に評価が高いTRIGGER。監督は『天元突破グレンラガン』や『キルラキル』などで有名な今石洋之氏。脚本は劇団☆新感線の一連の作品で知られ、『天元突破グレンラガン』『キルラキル』でも今石監督とタッグを組んだ中島かずき氏が書き下ろした。アニメファンなら胸躍る座組みだ。加えて、声優には松山ケンイチや早乙女太一、堺雅人、ケンドーコバヤシ、古田新太といった人気俳優・タレントが並び、テーマソングはSuperflyが歌う。非アニメファンへの目配りも忘れない。

 とはいえ近年、映画にしろテレビアニメにしろ、完全オリジナル作品でヒットを飛ばすのは難しいと言われている。シリーズものや原作ものと違い、オリジナルは知名度が低く、ゼロから耳目を集めなければならないからだ。そんな中での前述の結果は、大ヒットと言っていい。

 また、本作はミクシィが同社のエンターテインメントブランド「XFLAG」名義で製作したことも注目に値する。自社のIP(作品やキャラクターなどの知的財産)である『モンスターストライク』などのアニメは手掛けてきたものの、同社にとっても完全オリジナル作品の製作は初のこと。しかも、SNSやゲームに強い同社ならではの方法で『プロメア』を盛り上げ、ヒットにつなげた。

 そこでこの記事では、TRIGGERの大塚雅彦社長、製作したミクシィのデジタルエンターテインメント事業本部 事業開発室 映像企画グループの鵜飼恵輔マネージャーにインタビューを決行。両社が『プロメア』で手を組むに至った経緯や、ミクシィが仕掛けたプロモーション手法から、動画配信サービス隆盛の中、アニメ制作の現場に起こっている変化などを聞いた。

●“アドレナリン全開”はXFLAGにぴったり

Q. 興行収入、観客動員はもちろんですが、62の国と地域で配給契約を結んだというのも『プロメア』成功のポイントだと思います。この結果は予想通りですか。

A. 鵜飼氏 当初からなるべく多くの国や地域に広めたいと思っていましたし、ネット配信などによる収益よりも劇場配給を優先して考えてもいました。封切り前に契約できたところもあれば、日本での反響を受けて熱量が上がってきたところもありますが、いずれにしろ広く公開できて良かったというのが率直な感想です。

Q. 今回、ミクシィの「XFLAG」ブランドで製作しています。まずはその経緯を伺えますか。

A. 大塚氏 『プロメア』の企画自体はもともとありました。今石洋之監督がテレビシリーズの『キルラキル』を終えた後、次は劇場版がやりたいという話をしていたんです。でも実際にやろうとしたら、これはかなりお金かかるなと。そこで、委員会方式も含め出資先を探したところ、手を挙げてくれたのがXFLAGです。

Q. ミクシィがXFLAGとして『プロメア』の製作を決めたのはなぜでしょう?

A. 鵜飼氏 XFLAGのミッションは「友達や家族とワイワイ楽しめる“アドレナリン全開”のバトルエンターテインメントを創出し続ける」ことです。既にほぼ完成していたシナリオを見て、『プロメア』はそのミッションに一致すると思いました。今石監督や脚本の中島かずきさんへの信頼感ももちろん大きいですが、企業としての姿勢を示すのにぴったりというのが出資を決めた理由ですね。

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最終更新:2019/12/3(火) 6:00
日経クロストレンド

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