ここから本文です

大量IPO月間、12月の乗り切り方は?(苦瓜達郎)

2019/12/4(水) 7:47配信

NIKKEI STYLE

今年もまた、大変な季節がやってきました。1年前にも書きましたが、11月後半は私にとって1年の中で最も忙しい季節です。3月決算企業の4~9月期決算の取材が本格化する上、年内上場を目指す株式新規公開(IPO)企業の取材が集中するのです。IPOの12月集中については、関係各位に折に触れ「文句」を言っていますが、一向に変わる気配はありません。

■去年より悪化した年末集中

それでも今年は景気鈍化で上場計画を延期する企業が増え、ちょっと楽になるのではと予想していましたが、全く予想が外れました。なんと今年は昨年より4社も多い23社の上場が12月に集中する見通しです。年間通した上場社数は87社と昨年より減少する予想なので、年末集中がむしろ悪化しています。
1年前も書いたように、本来の繁忙期である11月後半に、公表までは読めないIPO関連のアポ取り・取材・フィードバックが降りかかります。今も誰もいない早朝のオフィスでこの原稿を書く羽目に陥っています。

■需給悪化の引き金に

ファンドマネージャーが大変なだけならいいですが、IPO時期の集中は、需給面でも悪影響を免れません。昨年のIPO企業のうち、初値が公募価格を下回った企業は9社ありましたが、うち4社は12月に集中しています。株式市場全体が下落局面であった影響もありますが、IPOの過度な集中が下落リスクを高めたことも事実でしょう。
しかもIPO市場の状況は今年、昨年より厳しさを増しています。株式市場全体では昨年より落ち着きを取り戻していますが、IPO銘柄に関しては既に7社の初値が「公募割れ」でした。

■見受けられる「危険」な兆候

公募割れ銘柄の中身をみてみましょう。確かに人気化する要素に乏しい企業もありますが、一方で十分な成長性を持ちながら、それを過度に公募価格へ織り込んでしまったため、株価を維持できなかったと考えられる銘柄も散見されます。そのため最近は、公募価格を目論見書ベースの想定価格から大幅に切り下げる例も出てきました。
また、上昇銘柄の中でも、初日にストップ高買い気配で終わったにも関わらず、翌日になると付いた初値はその買い気配を大幅に下回るなど、相場の「質」の低さを表す例が出てきています。この状況で、昨年を上回る社数のIPOが行われることは、かなり危険な状況と言えるでしょう。

1/2ページ

最終更新:2019/12/4(水) 7:47
NIKKEI STYLE

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事