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減少が止まらない書店が生き残る道は何か 石井和之〔日書連事務局長〕

2019/12/4(水) 12:12配信

創

粗利益が30%くらいにならないと…

街の書店が次々と消えてゆく現状に対して、書店側はどう対応しようとしているのか。日本書店商業組合連合会(日書連)の石井和之事務局長にうかがった。

――書店が次々となくなっていく現実が続いていますが、日書連加盟書店の数はどのくらい減っているのですか?
石井 ピークは1万3000店でしたが、今は3000店ぐらいです。ピーク時に比べて現在は4分の1ほどです。ただ、これは店舗数でカウントしていますので、法人数では4分の1までは減っていないと思います。
――そうした苦境の中で、この何年か、出版社と取次を含めた「実務者会議」を呼び掛けて対策を講じようとしてきたわけですね。
石井 日書連では、10年に1回定点観測として、加盟店の経営実態調査を実施しています。このアンケートの中で今、書店業がこれだけ疲弊してきている状況において「何が一番必要だと思いますか」と聞いたところ、突出して多かったのが「粗利益が30%くらいにならないと書店経営は続けていけない」という答えです。
 これを解決する方法は二つあって、一つは出版社と取次の協力によって正味率を改定し、売り上げにおける書店の取り分を増やすことです。ただ、現在は業界全体が非常に苦しいので、この実現は簡単ではありません。もう一つは、正味改定をせずに粗利益を30%にするための方策を、出版社と取次の協力によって実施することです。バックマージンなども含まれます。
 今の書店の粗利益は22~23%くらいですけれども、それをあとなんとか7%ほど引き上げることができれば、中小の書店も一息つくことができるのではないかということです。
 そのためにはもちろん取次の協力も必要ですが、やはりメーカーである出版社の協力が大前提です。そこで、2年ほど前から大手出版社12~13社、大手取次3社を回り、社長と直接会い、私たち日書連の行っている活動についての率直な意見を求めてきました。
 そこで私たちから提案したのが、三者でテーブルを囲んでざっくばらんに意見交換ができるような「実務者会議」の設置です。経営者でなくても、現場をきちんと分かってる方たちに参加してもらい、書店の粗利益を増やす方策を考えるのはどうでしょうと提案をしました。
 この提案に対して賛同していただき、大手出版社4人、大手取次3人、そして書店から5人ほど、総勢約10人強の集まりが実現しました。去年は4回ほどテーブルを囲んで、問題はどこにあるか、粗利益の高い企画を提案してもらえないかなど話し合いました。
 その後、一旦三者協議をお休みにしたのですが、1年間の協議内容の報告も兼ねて、もう一度、同じ出版社と取次を回ってみることにしたのです。協議会では、書店組合からも何か提案はないかと発言があり、日書連から実務者会議へ提出したのが「試案」でした。昨年末にこれを訪問する予定の出版社、取次にお送りしたうえで会長を含め3名ほどで各社を再訪問しました。
 この秋から、3度目になりますが数社を回る予定を立てています。昨今は中小書店の中で特に小規模な書店、主に雑誌を配達しているような町の書店が廃業に追い込まれています。このような雑誌の売り上げを支えてきた小規模な書店の経営を存続させる方策をどうするか、まずはこのあたりに合わせた提案を持って回りたいと思っています。

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最終更新:1/10(金) 21:18

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