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毎月分配型、残高減少に歯止め 高齢者のニーズ根強く

2019/12/5(木) 7:47配信

NIKKEI STYLE

毎月分配型投信の人気低下に歯止めがかかっている。純資産残高は2019年10月末時点で約23兆円と15年5月に記録した直近ピークの43兆円に比べほぼ半減したが、ここ1年近くは22兆~23兆円の水準を維持している。海外REIT(不動産投資信託)型など足元で資金流入に転じる例も出始めた。
毎月分配型投信は組み入れ資産の収益以上の分配金を出すことが多いため、金融庁が「長期の資産形成に向かない」と問題視し、販売会社も積極的な販売を控えたことから純資産残高はほぼ右肩下がりで減少していた。ここにきて下げ止まっている背景には、年金だけでは生活費が不十分な高齢者を中心に定期的な分配金へのニーズが根強いことがあるとみられている。

■リターン、分配金が押し上げ

では毎月分配型投信の足元の運用成績と分配金の状況はどうなっているのだろうか。純資産残高の大きい毎月分配型投信を対象に過去1年の成績をまとめたのが下の表だ。投信の時価と分配金を含めたトータルリターンを示す年間騰落率(分配金再投資ベース)を調べ、基準価格の値動き(A)と分配金の寄与分(B)に分解した。分配金の寄与分は再投資ベースの分配金利回りといえる。
残高首位の「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド」の年間騰落率(A+B)は16.30%。内訳をみると(A)の基準価格は2.00%下落したのに対し(B)の分配金が18.30%のプラスに寄与し、結果として年間騰落率はプラス16.30%となった。残高4位の「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」の年間騰落率は3.36%で、このうち基準価格は7.49%下落したが分配金の寄与分10.86%がトータルリターンを押し上げた。
残高上位10本のうち9本は基準価格の値上がりより分配金の寄与分のほうが大きく、基準価格が分配金の寄与を上回ったのは「J-REIT・リサーチ・オープン」のみ。大型の毎月分配型投信のほとんどが運用成績に見合わない高めの分配金を出していることを示している。

なぜ投資信託は運用成果を上回る高い分配金を出せるのか。仕組みをみていこう。まず株式の配当金の場合は、基本的に企業がその期に稼いだ当期利益と過去に稼いだ利益の蓄積である利益剰余金から支払われる。つまり株式の配当金は企業の収益とその蓄積だ。
一方、投信の分配金は組み入れ資産から得られる収益とは直接関係ない「収益調整金」という投信特有の勘定科目が重要な役割を果たす。収益調整金とは新たな投資家が投信を購入することによって既存の投資家の分配可能原資が減らないようにするためにあり、投資家が投信を購入すると金額が拡大する。
投信の分配金にかかわる勘定項目を整理すると、当期の収益である「配当等収益」と「有価証券売買等損益」に加えて、前期から繰り越された「分配準備積立金」と「収益調整金」の4つがあり、この合計から分配金が支払われている。

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最終更新:2019/12/5(木) 7:47
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