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【海外ドラマ】ドイツの人気ドラマで、女性の幸せについて考える。

2019/12/5(木) 17:09配信

フィガロジャポン

「フラウ・モニカ」(2016年~)

1950年代の西ドイツを舞台に、母親と暮らす3人の若い娘たちの恋愛と結婚、仕事などを通して、女性の生き方を描いたドイツの3部構成のシリーズ。第1部は56年、第2部は59年、これから放送となる第3部は63年が舞台となる。ドイツで高視聴率を記録した秀作シリーズだ。日本語タイトルは、ドイツ語で「ミセス・モニカ」を意味する。

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ワルツなどの上品なダンスの教室をひとりで営むカテリーナは、超保守的な価値観を持つ母親で、とにかく娘たちを早く良家に嫁がせようとしてる。長女ヘルガは挙式目前、三女イーファは病院勤めで自立しているが、よい結婚相手をゲットしようとやる気満々。次女モニカだけが結婚に消極的で、母親からは何かにつけて出来損ない呼ばわりされている姿は、見ていて本当に辛くなる。古い価値観に違和を感じ、もっと自由に生きたい。そう願う彼女がフレディという歌手と出会い、当時は破廉恥だと思われていたエルヴィス・プレスリーなどのロックンロールに触れ、ダンスを踊ることに喜びを見いだしていく姿の、なんと輝いていることか! 抑圧されていた若さのエネルギーと情熱が弾ける瞬間のきらめきに、心躍らずにはいられない。誰だって自分の周りにある壁を壊して、自分を解放したいと願ったことがあるはずだから。

それにしても、娘たちを最も苦しめる存在でもあるカテリーナには考えさせられるものがある。自分だってそうやって生きてきたのだから、女性なら同じように「理不尽なこと」には目をつぶり、「多少の不自由さ」には耐えるべきだとの考えは、この時代としては仕方のない部分もあるだろう。だがこうした母親像、あるいは女性像は無自覚だとしても現代でも珍しくはないはず。しかし母親の言いつけを守っても、世の常として長女と三女の結婚生活は順風満帆とは行かないし、心のままに恋をして自由を謳歌するモニカもまた、女性として人生の最大の試練に直面する。あらためて女性の幸せってなんだろうと考えながら、現代に生きる私たちもまた同じように古い価値観との間で葛藤し、闘っているのだとしみじみ思う。

モニカ役のゾニア・ゲアハルトは、ドイツの秀作シリーズ「ドイツ1983年」(2015年)などで知られる演技派女優。ドラマのシーズン2では歌手&ダンサー、そして映画女優となっていくモニカを力強く演じて強い印象残す。『ありがとう、トニ・エルドマン』(16年)のトリスタン・ピュッターが演じるフレディとともに見せるダンスシーンや、自前の歌声による劇中歌ではロックンロールからブルースまで、堂々とした歌唱力を披露。戦後の混乱期から急速な経済成長を遂げていく社会を背景にした、1950年代のファッションや当時の映画&音楽などのカルチャーも楽しい。

「フラウ・モニカ」
原題/Ku’damm 56(シーズン1)、Ku’damm 59(シーズン2)
クリエイター/アネッテ・ヘス
出演/ゾニア・ゲアハルト、クラウディア・ミヒェルゼン、マリア・エーリッヒ、エミリア・シューレ、ザビン・タンブレアほか
U-NEXTにてシーズン1・2配信中
(c) Copyright ZDF 2016 (c) Copyright ZDF 2018

texte:SACHIE IMA

最終更新:2019/12/5(木) 17:09
フィガロジャポン

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